アパート売却で得するには?不動産相場と成功する売却戦略とは

―収益物件を適切に評価し、高値売却を実現するためのポイント徹底解説―



ひがの製菓(株)不動産部のブログへようこそ。本記事では、筑西市を含む地方都市においてオーナーが保有するアパートを、「より高く」「トラブルなく」「スムーズに」売却するための基本的な知識と戦略を徹底的に解説します。賃貸経営を続けてきたものの、築年数の経過や空室率の上昇、相続や経営方針の変更などで「そろそろ手放したい」とお考えの方は少なくありません。一般的な戸建て住宅とは異なり、賃料収入や入居者動向、土地活用の収益性など、アパート売却には独自のポイントがあります。信頼できる不動産会社のサポートを得るためには、まずオーナー自身がマーケット感覚を身につけ、売却時に想定されるリスクや準備すべき資料を把握しておくことが不可欠です。

本稿では、アパート売却に関連する「市場相場の読み方」「物件査定のコツ」「売却戦略の立案」「具体的な準備・手続き」「税務・法律の注意点」「交渉・契約の進め方」「売却後のアフターフォロー」まで、成功に導くための知識を余すところなくお届けします。なお、一般的なノウハウと注意点を中心にご紹介しますので、これからアパート売却を検討されるオーナー様はぜひ最後までご覧ください。

■1.アパート売却の市場相場を正しく把握する

アパート売却の第一歩は、市場相場を正しく把握することです。売却価格の根拠を示せないと、買主側の金融機関による担保評価(融資査定)が通りにくく、売却チャンスを逸する可能性があります。ここでは、相場を読み解くための主な指標とポイントを解説します。

1.1. 公示価格・路線価をチェックする
国土交通省が毎年11日時点で公表する「地価公示価格」は、土地取引の指標として最も基本的なデータです。土地の適正価格を把握する上で重要ですが、アパート用地としての収益性を評価するには、路線価(国税庁公表)を参考にするとよいでしょう。路線価は、「1㎡あたりいくらで評価されるか」を示しており、都市部や住宅地のほか、地方都市の主要道路沿いにも設定されています。筑西市の地価公示価格や路線価データを把握したうえで、「土地部分の理論価格」を導き、建物部分と合わせた総合的な査定目線を養っておきましょう。

1.2. 近隣の成約事例と利回り相場の確認
実際の取引事例(レインズや不動産ポータルサイトの成約データ)をチェックし、類似物件の取引価格や利回り(表面利回り・実質利回り)を把握します。筑西市内および周辺エリアで築20年以内の木造アパート、鉄骨造アパートの直近成約事例を調べ、築年数や間取り(1K1LDK、ファミリータイプなど)、総戸数、満室時の想定賃料から算出できる利回りと比べることで、自身のアパートが市場でどの程度の価格帯に位置するかをイメージできます。買主候補が「利回り%以上を狙いたい」と考える場合、その利回りをクリアできるかどうかが売れ行きに大きく影響するため、実際の賃貸状況(稼働率)や経費(管理費・修繕費など)を踏まえた「実質利回り」のシミュレーションも必ず行いましょう。

1.3. 地域特性と立地条件の考慮
地方都市では、地域ごとに賃貸需要や入居者属性が大きく異なります。筑西市は下館駅周辺の商業施設や工場団地へのアクセスが良い一方、郊外部はバスの便数が限られるため空室リスクが高まりやすい傾向があります。駅徒歩何分、スーパーやコンビニまでの距離、小学校・中学校区の人気度などを踏まえ、「生活利便性」と「交通利便性」の両軸で物件評価を行うことが大切です。加えて、自治体の住宅支援政策(空き家対策補助金や改修助成制度など)が適用されるエリアかどうかを確認し、売却後に買主が活用できるメリットを訴求材料としてアピールすると、他物件との差別化につながります。

■2.アパート査定のコツと準備すべき資料

査定を依頼する前に必要な情報を整理し、売却価格の根拠を自らも把握しておくことで、不動産会社との交渉がスムーズになります。ここでは、査定時に重要となる項目と資料を挙げ、具体的な準備方法を解説します。

2.1. 賃貸稼働状況と収支内訳書の作成
アパートの査定額は、単に建物の再調達価格や土地価格だけでなく、賃料収入と各種経費を考慮した「収益還元法」によって算出されるケースが一般的です。したがって、現在の賃貸稼働率(満室・稼働中の戸数)、契約中の賃料(月額賃料・共益費・駐車場使用料など)、敷金・礼金の内訳、更新料・解約手数料の有無、管理会社への委託費、固定資産税・都市計画税、修繕費や保険料などの年間経費をまとめた「収支内訳書(損益計算書)」を作成し、査定会社に提示できるようにします。収支内訳書によって、売却後の買主が想定するキャッシュフローを明確化できるため、高めの査定額を引き出しやすくなります。

2.2. 建物図面・配置図・検査済証等の建築関連資料
築年数や建築構造を正確に把握するために、建築確認済証・検査済証(あるいは既存不適格物件の場合はその旨を説明できる書類)、建物図面(平面図・断面図)、配置図、各フロアの図面、主要設備の仕様書(給湯設備・エアコン・キッチン・浴室など)を用意します。特に築年数が20年以上の木造アパートでは、耐震基準が現行法と異なるため、耐震診断結果や改修済みの証明書があれば査定にプラス要素となります。図面や検査済証が紛失している場合は、役所の建築指導課や建設審査課に問い合わせて取得し、早めに整備しておきましょう。

2.3. 収益物件の種類とカテゴリー別評価
アパートにも、木造2階建ての小規模物件、中規模の鉄骨造3階建て以上、さらにはRC造の中古マンションタイプ賃貸物件など、さまざまなタイプがあります。小規模木造アパートは取得価格や建築コストが低い反面、耐用年数の観点から経費率が高くなりやすいため、築年数や入居者属性を厳しく精査される傾向があります。一方、鉄骨造やRC造は耐用年数が長く、老朽化による修繕費シミュレーションも比較的安定しやすいため、築25年を超えていても収益還元法による査定額が維持されるケースがあります。物件の構造ごとに適切な査定方式を選択できるよう、建築構造と各構造の法定耐用年数(木造22年、軽量鉄骨19年、鉄筋コンクリート47年など)を確認しておきましょう。

2.4. 固定資産税評価証明書と公図・登記事項証明書の準備
土地の固定資産税評価額を示す「固定資産税評価証明書」、地積や地目が分かる「公図」、所有者や抵当権の有無を確認するための「登記事項証明書(全部事項証明書)」を取得し、査定会社に提出することで、土地部分の査定精度が格段に高まります。特に土地の形状が旗竿地や変形地の場合は、「建ぺい率」「容積率」「セットバック(道路後退)」などの制約が査定に影響するため、公図や都市計画図を基に正確な土地面積と法的制限を把握しておきましょう。

■3.売却戦略の立案:タイミングと価格設定

アパートを売却する際には、「売り急ぎすぎて相場より安く売ってしまう」「買い手がつかずに市場に長期間滞留して売れ残ってしまう」といったリスクを避けるために、適切な売却戦略を立案することが重要です。ここでは、売却タイミングの見極め方と価格設定の考え方について解説します。

3.1. 売却タイミングの見極め
(1)築年数・減価償却の観点
アパートは建築構造ごとに法定耐用年数が定められています。木造アパート(耐用22年)は築22年で簿価がほぼゼロになり、残存耐用年数を超えると減価償却が終了するため、固定資産上の簿価は大きく下がります。一方で築20年を過ぎると入居者の入退去サイクルが早まり、空室率や修繕コストが急増する傾向があるため、築1520年の間に売却活動を行うケースが多いです。築20年を超えた場合は、「老朽化に伴う修繕タイミング」「大規模修繕の予算」を考慮し、建物の耐用年数をベースに売却判断を行うことがポイントです。

(2)金利・不動産市況の状況
金融機関の貸出金利が低い時期は、投資用物件を購入しやすいため、アパートに限らず不動産市況が活発化しやすい傾向があります。2025年時点で日銀の超低金利政策が続いている場合、投資用ローンの金利優遇が続くため、買主側の融資枠が増え、比較的高値での売却も期待できます。逆に金利が上昇局面にある場合、融資審査が厳しくなり、買主が減少しやすいため、売却タイミングの見極めが難しくなります。売却を検討する際は、経済ニュースや金融機関の金利動向、地元金融機関の投資用ローン金利を定期的にチェックし、金利上昇局面の前に売却を完了させるか、金利安定期まで待つかを判断しましょう。

(3)税制改正・法改正の影響
税制や法令が改正されるタイミングも売却戦略に影響を与えます。例えば、相続税評価額の引き下げや、賃貸住宅用地の適用要件緩和、新築しやすいような用途地域変更などが行われると、「相続税を見据えた売却」「収益性を高めるための用途変更」を検討するオーナーが増え、市場に物件が出やすくなる場合があります。逆に、資産譲渡にかかる譲渡所得税率の引き上げや借地借家法の改正(借主保護の強化)などがあると、売却に慎重になる投資家が増え、市場が停滞することもあります。税制改正や法改正の情報収集を怠らず、売却タイミングを分散することも一つの戦略です。

3.2. 価格設定の考え方とプライシング戦略
(1)査定価格と売出価格の乖離を把握する
不動産会社からの査定価格(実勢価格)と、実際に売り出す売出価格は必ずしも一致しません。査定価格は相場の中央値を示すものであり、売出価格は売主が「少しでも高く売りたい」という希望を一定程度反映した価格設定が可能です。ただし、売出価格を相場より大きく上回ると内覧者が集まらず、市場に長期間滞留して「値下げ圧力が強くなる」という事態を招きかねません。査定価格をベースに、「査定価格+α510%程度)」を上限とした価格設定を行い、その後の内覧状況や問い合わせ数を見ながら、34週間程度で価格調整を行うことを想定しておきましょう。

(2)利回りシミュレーションを提示する
買主は「今後の利回りがどの程度見込めるか」を最重視します。売出価格を試算する際は、満室想定賃料から管理費・修繕費・空室率想定分を差し引いた「実質利回り」を計算し、買主にわかりやすい形で提示します。例えば、満室想定賃料が月額50万円、年間で600万円、そのうち管理費・修繕費など年間経費が100万円、空室率10%を想定した場合、実質利回り=(600万円×90%-100万円)÷売出価格×100%となります。この利回りシミュレーションを資料に盛り込むことで、買主が今後のキャッシュフローをイメージしやすくなり、価格交渉の際に「この価格なら納得できる」という説得材料になります。

(3)自己資金・融資条件を考慮した価格帯設定
投資用物件の場合、買主がどの程度の自己資金を用意できるか、金融機関がどのような融資条件を付与するかによって、実際に購入可能な価格帯が決まります。一般的に投資家は物件価格の20%前後を自己資金として用意し、残りを融資で賄うため、借入可能な融資額が限られることを想定して売出価格を設定することが重要です。例えば、買主候補が自己資金2,000万円を用意し、金融機関が融資可能額を最大8,000万円とすると、総額1億円程度の物件をターゲットにするケースが多くなります。売出価格をあまりに高く設定すると、融資審査が通らず検討対象から外れる可能性があるため、金融機関の審査想定(想定借入比率や返済負担率)を考慮しつつ、買主が融資を受けやすい価格帯を目指しましょう。

■4.具体的な売却準備と手続きの流れ

アパート売却をスムーズに進めるためには、事前の準備と手続きの流れを明確化しておくことが不可欠です。ここでは、売却相談をした後から引き渡しまでの一般的な流れと、各ステップで必要となる書類・手続きを段階的に解説します。

4.1. 不動産会社への売却相談と査定依頼
(1)複数社の比較検討
アパート売却を検討したら、まず複数の不動産会社に売却相談をすることをおすすめします。地域特化型の地場不動産会社、アパート・マンション売却実績が豊富な専門業者、大手仲介会社など、計3社程度に相談し、査定価格や売却スケジュール、提案力を比較検討します。査定価格だけでなく、「どのような販売戦略を提案してくれるか」「投資家ネットワークの構築状況」「広告掲載エリアや媒体選定の工夫」「入居者引継ぎサポートの有無」など、多角的に比較し、信頼できる担当者を選びましょう。

(2)媒介契約の種類と比較
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。一般媒介契約は複数社と同時契約可能で自己発見取引も許されますが、情報が散在しやすく営業活動が分散しがちです。専任媒介契約は1社専属で売却を依頼する代わりに、不動産会社は2週間に1回以上の活動報告義務があります。専属専任媒介契約は最も拘束力が強く、売主が自ら買主を見つけることができず、不動産会社は1週間に1回以上の活動報告義務が課されます。アパートは情報管理や投資家へのアプローチが重要なため、一般的には「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を選ぶケースが多いです。契約期間は36か月が相場ですが、契約期間満了前に活動計画を見直すことも可能です。

4.2. 建物内外の点検・修繕計画の策定
(1)現況調査と簡易修繕の実施
査定依頼後は、不動産会社の担当者とともに建物内外の現況調査を行います。屋根や外壁のひび割れ、雨樋の詰まり、軒下の腐食、基礎の亀裂など外装の劣化箇所をチェックし、必要であれば簡易的な補修や高圧洗浄による外観クリーニングを行いましょう。借り手がついていない空室がある場合は、壁紙の剥がれ、畳の傷み、水回りの汚れなどを補修することで、内覧時の印象が大きくアップします。オーナー負担で修繕を行う場合は、コストと修繕効果(賃料単価の引き上げや入居率改善)を見積もり、修繕後にどの程度査定額が上がるかを不動産会社と相談しながら進めましょう。

(2)設備の点検とリース契約の確認
給湯器、エアコン、キッチンコンロ、換気扇、浴室乾燥機など主要設備の点検を行い、不具合があれば交換や修理を実施します。また、オートロックや防犯カメラ、インターネット回線など賃貸向けの付帯サービスがある場合は、リース契約期間やリースアップ費用を事前に確認し、引き継ぎ方法を整備しておくことが重要です。設備の故障やリース契約の継続可否は、買主の収益シミュレーションに影響するため、売却検討段階で明確にしておきましょう。

4.3. 売出し準備と広告戦略
(1)売却資料(媒介用パンフレット)の作成
投資家向けにアピールするためには、表紙に物件名(通称名)や所在地、築年数、延床面積、総戸数、構造、想定満室利回りなどを大きく見せる一方、物件の魅力を訴求するキャッチコピーや周辺環境(駅徒歩分、商業施設までの距離、学校区、将来開発計画など)をわかりやすくまとめた「売却資料(媒介用パンフレット)」を作成します。写真は高解像度で、外観・共用部・代表的な居室タイプ(モデルルーム状態に近いもの)のものを用意し、「視覚的に訴える資料」を整えましょう。

(2)広告媒体の選定と掲載計画
投資家は不動産専門サイトや業者専用サイト(レインズ、楽待、不動産ジャパンなど)をチェックすることが多いため、まずはこれらの媒体への掲載を検討します。さらに、地域密着型の紙媒体(地元不動産情報誌)、地域の銀行や信用金庫に配布される投資家向け会報誌、仲介業者向けの勉強会やセミナー、地主組合や自治体の空き家バンクなど、多角的に情報を発信する戦略を立てましょう。広域の投資家よりも、地元企業の社宅需要や単身赴任者向け賃貸需要を狙う場合は、地元のサラリーマン向けフリーペーパーや大学生向けのアパート紹介サイトへの掲載も効果的です。掲載後は問い合わせ数や内覧予約状況を定期的に確認し、反響が乏しい場合は写真の差し替えやキャッチコピーの見直しなど、PDCAを回して改善を図ります。

4.4. 内覧対応と買主心理の把握
(1)入居者在住中の場合の注意点
賃貸稼働中のアパートを売却する際は、入居者のプライバシーに配慮しつつ、内覧スケジュールを調整します。事前に入居者へ訪問日を伝え、共用部や空室のある部屋だけを見せるなど配慮を行うことで、入居者トラブルを防ぎます。空室がある場合は、モデルルーム化した状態で見せると、投資家に「入居付けが容易そう」と感じさせるため効果的です。

(2)買主が気にするポイントと説明方法
投資家が内覧時に重視するポイントは、「空室率」「大規模修繕のタイミング」「周辺相場の推移」「入居付けの難易度」「建物老朽化の進行度合い」などです。これらに対しては、収支内訳書や修繕履歴、耐震診断報告書、賃貸募集履歴や入居希望者数の推移資料を併せて提示し、「購入後に想定される収支リスクと想定対策」を具体的に説明できるように準備しておきましょう。建物の老朽化が進んでいる場合は、今後必要となる大規模修繕の概算見積もりや、修繕資金積立の実績を示すなど、買主が費用を見積もりやすい資料を用意することで、信頼感を高められます。

4.5. 価格交渉と売買契約の締結
(1)価格交渉の進め方
内覧を経て買主候補から値下げ交渉があった場合、オーナーは「想定利回りとの乖離」「空室リスクによる下落幅」「修繕費用の見積もり」をベースに交渉幅を想定しておきます。例えば、想定利回り7%を満たすためには売出価格からどれだけ引き下げられるか、その際の売主の譲歩可能な最低価格はいくらかを事前に整理しておくことで、交渉時にブレずに対応できます。交渉の際には、不動産会社から提示される買付証明書(オファー)に基づき、必要な瑕疵担保責任の範囲や引き渡し時期、残置物や設備引き継ぎの条件を調整しながら合意形成を図ります。

(2)売買契約の締結と必要書類
買主と基本条件で合意に至ったら、当該不動産会社が作成する「売買契約書」を締結します。売買契約書には、物件概要、売買価格、支払い条件(手付金・残代金)、引き渡し時期、瑕疵担保責任の免責範囲、登記費用負担の範囲などを明記します。加えて、投資用物件特有の以下のような項目も契約書に盛り込みます。

  • 建物状況報告書:修繕履歴や設備状況、耐震診断結果などを記載。
  • 賃借人情報引き継ぎリスト:入居者の氏名・賃料契約条件・契約期間・更新料の有無などを一覧化し、買主に引き渡す。
  • 引き渡し時の家賃精算:引き渡し日をまたいで家賃が発生する場合の清算方法(按分金額)を明確に定める。
  • 管理委託契約の引き継ぎ:管理会社がある場合は、管理契約の解除条件や引き継ぎスケジュールを調整し、契約書に付随させる。

契約締結後、買主は手付金を支払い、契約解除可能期間が過ぎると売買契約が確定します。買主が融資利用する場合は、「融資承認期限」を売買契約書に記載し、期限内に承認が下りない場合は契約を白紙解除できる条項を設定しておくと安心です。

4.6. 引き渡し前の最終準備と登記手続き
(1)残置物・原状回復の確認
アパート売却の場合、オーナーが貸主として残置物(エアコンや照明器具、ハウスクリーニングの有無)を撤去する範囲を事前に明確にしておきます。特にエアコンは買取義務が発生するケースや、備え付けのまま引き継ぐケースがあるため、どの設備を残して引き渡すかを買主と合意し、書面で確認しておくことがトラブル防止につながります。原状回復範囲は賃貸借契約書に基づいて決められますが、売買時には「引き渡し時にどの程度の状態で引き渡すか」を契約書に追記し、クリーニング費用の負担者を明確化しておきましょう。

(2)登記手続きと抵当権抹消手続き
買主が自己資金と融資を利用して購入する場合、融資実行日に合わせて「抵当権設定登記」を行い、同日にオーナー保有の抵当権(借入金担保)が存在する場合は、「抵当権抹消登記」の手続きを司法書士に依頼します。抵当権抹消には、金融機関が発行する「抵当権抹消承諾証明書」や「残代金決済を証明する書類」が必要となるため、引き渡しまでに金融機関と連携して正確に手続きを進めます。抵当権が抹消されないと、所有権移転登記ができず、買主への引き渡しが完了しないため、司法書士への依頼は事前に段取りよく行いましょう。

(3)税金関係の精算と申告準備
アパート売却後、オーナー(個人・法人ともに)は譲渡所得税・住民税(個人の場合)または法人税(法人の場合)の申告・納付が必要となります。譲渡所得税の計算は、「売却価格(敷地・建物合計)-取得費(購入時価格+取得諸費用)-譲渡費用(仲介手数料、登記費用、残置物撤去費用、測量費など)」で譲渡所得を算出し、所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」として税率が低くなるため、節税効果を狙うなら「5年超え」を意識して売却時期を調整することも検討に値します。また、法人の場合は「棚卸資産としての在庫物件」として扱うか「固定資産」として扱うかで税務上の取り扱いが異なるため、税理士と相談しながら適切な申告スケジュールを立てましょう。

■5.売却後のアフターフォローと今後の注意点

売却が無事に完了しても、オーナーとしては以下のようなアフターフォローが重要となります。

5.1. 引き渡し後の家賃精算・保証金返還
引き渡し日をまたいで家賃が発生している場合は、按分計算を行い、売主・買主双方で合意した金額を精算します。保証金(敷金)については、買主が引き継いで返還義務を負う場合が一般的ですが、「旧オーナーが返還責任を負う」「買主が全額を立替える」など、契約時に取り決めた方法に基づき、返還手続きを行います。買主からクレームが出ないよう、細かい金額や計算方法を明示した「敷金・家賃精算書」を作成して引き渡すとトラブルを防ぎやすくなります。

5.2. 登記完了の確認と書類保管
売却後は、司法書士から所有権移転登記が完了した旨の「登記完了証明書」と「登記簿謄本」を受け取り、売主自身も登記事項を確認します。登記上の所有者変更が正しく登録されているかをチェックし、将来的な紛争を避けるために、これらの書類は大切に保管しておきましょう。また、抵当権抹消が正しく行われているかも確認し、万一誤記載や未登記のままになっている場合は速やかに対応を依頼します。

5.3. 税金申告と税務調査への備え
売却後の譲渡所得税申告にあたっては、売却関連の領収書や契約書、収支内訳書、司法書士への支払い証明、仲介手数料や測量費の領収書、修繕費や清掃費用の領収書など、いわゆる「譲渡費用」を立証できる書類を一括して保存しておくことが重要です。税務署は申告内容に疑義を感じた場合、税務調査を行う可能性がありますので、必要書類を整えておけば申告後のトラブルを回避できます。法人の場合は、法人税申告書や決算書に売却損益を適切に計上し、税理士と相談しながら検認を受けるフローを確立しておくことが安心です。

5.4. 今後の資産運用・ポートフォリオ再構築
アパート売却によってまとまったキャッシュが手元に残ると、次の資産運用先として、「他の収益物件への再投資」「替り地への再開発用地取得」「債券や投資信託など金融商品への分散投資」「自宅ローンの繰上げ返済」など、選択肢が広がります。売却後に取得した金額と相場変動を比較し、相続・事業承継の視点を含めた資産ポートフォリオの再構築を検討すると、将来的なリスクヘッジにつながります。特に相続間近のオーナーは、「アパート売却+贈与」や「アパートを法人化して承継するスキーム」など、節税対策を含めた長期的な資産設計を税理士・弁護士と一緒に進めることがおすすめです。

■6.まとめ:アパート売却で「得」をするために

本記事では、筑西市をはじめとする地方都市におけるアパート売却を成功させるためのポイントを、以下のように整理して解説しました。

  1. 市場相場を正確に把握するために、公示価格・路線価・成約事例・利回り相場・立地条件を多角的に調査する。
  2. 査定依頼前に賃貸稼働状況・収支内訳書・建築関連資料・土地登記・公図を揃え、査定精度を高める。
  3. 売却タイミングは築年数・減価償却・金利動向・税制改正を踏まえて見極める。
  4. 売出価格は査定価格をベースに適正利回りシミュレーションと自己資金・融資条件を考慮して設定し、内覧状況を踏まえて柔軟に調整する。
  5. 売却準備では建物・設備の簡易修繕や耐震診断、広告戦略、内覧対応、価格交渉と契約締結、登記手続き、税金申告を段階的に進める。
  6. 引き渡し後は家賃・敷金精算、登記完了確認、税金申告、資産ポートフォリオ再構築まで、一連のアフターフォローを確実に行う。

アパート売却は戸建て住宅以上に専門性が求められますが、本稿でご紹介したノウハウをベースに、信頼できる不動産会社とタッグを組むことで、「相場より得をする売却」「トラブルを最小限に抑えたスムーズな取引」「譲渡所得の節税」など、オーナー様の要望を満たす結果につなげることができます。ひがの製菓(株)不動産部では、筑西市・下妻市・結城市など周辺地域の収益物件売却に精通した担当者が揃っておりますので、アパート売却をご検討中の方はぜひ当社へご相談ください。本記事が、オーナー様の売却戦略を策定するうえでのヒントとなれば幸いです。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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