2025-10-31

「アパート経営を続けてきたけれど、管理や修繕の負担が大きくなってきた」「空室が増えて収益が以前ほど安定しない」「共有名義なので、自分一人の判断では売却できず困っている」というご相談は、筑西市でも不動産売却を考える際によくあるお悩みの一つです。
アパートや貸家などの収益物件は、一般的な戸建住宅とは違い、土地と建物だけでなく、入居者との賃貸借契約、家賃収入、管理費、修繕費、金融機関からの借入金など、さまざまな要素を整理したうえで売却を進める必要があります。
さらに、兄弟姉妹や親子、夫婦など複数の所有者による共有名義になっている場合には、売却価格や売却時期だけでなく、「誰が手続きをするのか」「売却代金をどう分けるのか」「これまで負担した修繕費や税金をどう考えるのか」といった問題についても、あらかじめ話し合っておくことが大切です。
そこで今回は、筑西市でアパート経営を辞めたい方、特に共有名義の収益物件を売却したい方に向けて、できるだけ失敗を避けながら売却を進めるための手順を、不動産売却の実務的な視点から詳しく解説します。
1.まず「なぜアパート経営を辞めたいのか」を整理する
アパートを売却する前に、最初に整理しておきたいのが、「なぜ経営を辞めたいのか」という理由です。
たとえば、空室が増えて家賃収入が減っている、築年数が古くなって修繕費が増えている、入居者対応や管理業務が負担になっている、所有者自身が高齢になり今後の管理が難しい、相続によって複数人の共有名義になり意思決定が難しくなった、借入金の返済が負担になっているなど、アパート経営を辞めたい理由は人によって大きく異なります。
売却理由を明確にすることは、単に気持ちを整理するためだけではありません。
「できるだけ早く売却したい」のか、「時間をかけても納得できる価格で売りたい」のか、「借入金を完済できる金額で売却したい」のかによって、売却活動の進め方や価格設定も変わってくるからです。
特に共有名義の場合は、自分一人の希望だけで売却条件を決めることができないため、最初の段階で共有者それぞれの考えを確認しておくことが重要になります。
2.共有名義なら、最初に所有者と持分を確認する
共有名義の収益物件を売却する場合、最初に確認したいのが「現在、誰が所有者なのか」という点です。
登記事項証明書を確認すると、土地と建物についてそれぞれ所有者と持分が記載されていますが、相続などを何度か経ている物件では、土地と建物で名義や持分が異なっていたり、共有者の一人が亡くなっているのに相続登記が完了していなかったりするケースもあります。
「兄弟で半分ずつ持っていると思っていたが、実際には持分が違っていた」「父親名義のままになっている土地があった」といったことが後から判明すると、売却準備が止まってしまう可能性があります。
そのため、売却を考え始めた段階で登記事項証明書を確認し、土地と建物それぞれについて、所有者、持分、抵当権などの権利関係を整理しておきましょう。
相続が関係している場合には、相続登記の状況についても確認することが大切です。
3.共有者全員で「売却する」という方向性を合わせる
共有名義の不動産を売却するときに、特に注意したいのが共有者間の意思統一です。
自分の持分だけを売却するという方法もありますが、土地・建物全体を通常の不動産として売却する場合には、基本的に共有者全員の協力が必要になります。
そのため、「自分は売りたいが、兄はまだ持っていたい」「妹はもう少し高くなるまで待ちたい」といった状態のまま不動産会社に売却を依頼すると、途中で話がまとまらなくなる可能性があります。
売却を決める前に、共有者同士で「売却すること」「売却時期の目安」「希望する価格」「売却にかかる費用の負担」「売却代金の分け方」などについて話し合っておくことが重要です。
もちろん、すべてを最初から細かく決める必要はありませんが、少なくとも「共有者全員が売却を検討することに同意している」という状態をつくってから査定や売却活動へ進むと、その後の手続きがスムーズになります。
4.アパートの「収益力」を把握してから査定を受ける
収益物件の価格を考えるときには、土地や建物の状態だけを見るのではなく、「現在どのくらいの収益を生み出しているのか」を把握することが大切です。
現在の入居戸数、空室数、月額賃料、年間家賃収入、駐車場収入、管理費、共用部分の電気代、修繕費、固定資産税などを整理しておくと、物件の収益状況を把握しやすくなります。
また、現在満室に近いからといって、必ずしも高く売れるとは限りません。
築年数が古い場合には、将来的に屋根や外壁、防水設備、給排水設備などの修繕が必要になる可能性があり、買主側から見れば、その費用も購入判断の重要な材料になります。
反対に、一定の入居率があり、賃料収入が安定していて、管理状態も良好な物件であれば、収益物件として評価される可能性があります。
売却前に現在の収益と支出を整理することで、「このアパートはいくらくらいの価値があるのか」を考えるための材料が増えていきます。
5.賃貸借契約を確認し、入居者の状況を整理する
アパートを売却するときには、入居者との契約関係も重要になります。
各部屋の賃料、契約期間、更新時期、敷金、保証会社の利用状況、駐車場契約、管理会社との契約など、現在の賃貸状況を確認しておきましょう。
特に、長期間入居している部屋と最近入居した部屋では契約条件が異なることもあるため、古い契約書だけで判断せず、現在有効な契約内容を確認することが大切です。
売却したからといって、当然に入居者へ退去してもらうということではありません。
入居者がいる状態のまま収益物件として売却するのか、空室にしてから売却するのかによっても、売却方法や買主層が変わる可能性があります。
そのため、「売るために空室にする」のではなく、物件の状態や収益性、地域の需要を見ながら、どの状態で売却することが適切なのかを不動産会社と相談することが重要です。
6.「共有名義だから持分だけ売る」と急いで決めない
共有名義の物件では、「他の共有者と話がまとまらないから、自分の持分だけ売ってしまいたい」と考えることがあります。
共有持分だけを売却する方法自体はありますが、一般的な土地・建物全体の売却とは買主や取引条件が異なるため、まずは物件全体を売却できる可能性を検討することが大切です。
特にアパートのような収益物件では、土地と建物、賃貸借契約、収益性などをまとめて評価してもらうことで、物件全体としての価値を判断できます。
持分だけを先に売却してしまうと、その後の共有関係がさらに複雑になる可能性もあるため、共有者との話し合いを避けるためだけに急いで持分売却を選択するのは慎重に考えたほうがよいでしょう。
共有者間の意見が合わない場合には、不動産会社だけで解決しようとせず、必要に応じて司法書士や弁護士、税理士などの専門家にも相談しながら進めることが重要です。
7.借入金が残っている場合は「売却価格」と「残債」を比較する
アパート経営を辞めたいというご相談では、金融機関からの借入金がまだ残っているケースもあります。
この場合、最初に確認したいのが現在のローン残高と、売却時に必要になる諸費用です。
不動産は「売れた金額がそのまま手元に残る」わけではありません。
仲介手数料、登記関係費用、金融機関の抵当権抹消に関する費用、税金など、売却に伴ってさまざまな費用が発生する可能性があります。
そのため、査定価格が3,000万円だったとしても、ローン残高が2,900万円、さらに売却費用が必要という状況なら、単純に「3,000万円で売れれば大丈夫」と判断することはできません。
売却を依頼する前に、金融機関への借入残高を確認し、「いくらで売れればローンを完済できるのか」という資金計画を考えておくことが大切です。
8.査定では「高い査定額」だけを基準にしない
不動産会社に査定を依頼すると、会社によって査定価格が異なることがあります。
そこで注意したいのが、「一番高い査定額を出してくれた会社に依頼する」という決め方です。
もちろん、少しでも高く売りたいという気持ちは自然ですが、収益物件の場合は、査定額だけでなく、その価格がどのような根拠から算出されているのかを確認することが重要です。
筑西市内でも、駅からの距離、周辺の賃貸需要、土地の広さ、建物の築年数、間取り、駐車場の状況、現在の入居率などによって、収益物件の評価は変わります。
「この価格なら売れる」と考えている価格と、「実際の市場で買主が検討する価格」が一致するとは限りません。
そのため、査定を受けた際には、近隣の売却事例や物件の収益性、建物の状態などを含めて説明を受け、納得できる価格設定を行うことが重要です。
9.筑西市の地域特性を踏まえて売却価格を考える
収益物件を売却する場合、全国的な不動産価格だけを見て判断するのではなく、実際に物件が存在する地域の賃貸需要を考える必要があります。
筑西市内でも、交通アクセス、周辺の商業施設、学校、医療機関、勤務先への通勤利便性などによって、賃貸住宅としての需要は変わります。
また、同じ市内であっても、単身者向けのアパートとファミリー向けのアパートでは、入居者層や賃料設定、競合物件が異なります。
そのため、「筑西市のアパートだからこの価格」という単純な考え方ではなく、物件周辺の賃貸市場と現在の収益状況を具体的に確認することが大切です。
売却を検討する際には、現在の家賃収入だけではなく、今後もその収益が維持できるのかという視点から価格を考える必要があります。
10.売却前に大規模修繕をするべきか慎重に判断する
アパートを売却する前に、「古くなっているから外壁を塗り直したほうが高く売れるのではないか」と考える方もいます。
しかし、大規模修繕に多額の費用をかけたからといって、その費用以上に売却価格が上がるとは限りません。
たとえば、売却直前に高額な外壁工事を行っても、その費用をすべて売却価格へ上乗せできるとは限らず、結果的に手元に残る金額が少なくなることもあります。
反対に、雨漏りなど買主が大きな不安を感じる部分については、事前に状態を確認しておくことが売却を進めるうえで重要になる場合があります。
修繕するか、そのまま売却するかについては、物件の状態、修繕費用、想定売却価格などを比較して判断しましょう。
11.共有者間で「売却代金の分配方法」を確認する
共有名義の収益物件では、売却が決まってから代金の分配について揉めることがないよう、早い段階から考え方を整理しておく必要があります。
原則として、共有持分に応じて売却代金を分けることが基本になりますが、実際にはこれまで誰が固定資産税を支払っていたのか、誰が修繕費を負担してきたのか、誰が管理業務を担当してきたのかなど、さまざまな事情が存在することがあります。
「自分が長年管理してきたのだから多く受け取りたい」「修繕費を多く負担したので考慮してほしい」といった意見が出る可能性もあります。
こうした問題は、売買契約の直前になって話し合うよりも、売却活動を始める前に共有者間で整理しておくほうが安心です。
税金や法律上の取り扱いが関係する場合には、税理士や司法書士、弁護士などの専門家にも確認しながら進めるとよいでしょう。
12.売却活動では「収益物件としての魅力」を正しく伝える
アパートを売却する際には、単純に「土地と建物があります」と紹介するだけでは十分ではありません。
現在の入居状況、賃料収入、駐車場台数、建物の築年数、修繕履歴、設備状況など、買主が投資判断をするために必要な情報を整理しておくことが大切です。
特に収益物件を購入する人は、「購入した後にどのくらいの収益が期待できるのか」「将来的にどの程度の修繕費が必要になるのか」といった点を慎重に確認します。
そのため、都合の悪い情報を隠すのではなく、物件の状態を正確に説明できるように準備しておくことが、結果的にスムーズな売却につながります。
入居状況や修繕履歴などの資料が整理されていれば、買主側も物件を評価しやすくなり、価格交渉などの場面でも具体的な話を進めやすくなります。
13.売買契約の前に条件を共有者全員で確認する
買主が見つかると、いよいよ売買契約へ進みますが、共有名義の場合は特に契約条件を共有者全員で確認することが重要です。
売却価格だけではなく、引渡し時期、契約不適合責任に関する取り決め、賃貸借契約の承継、敷金などの精算、固定資産税・都市計画税の精算など、確認すべき事項は多岐にわたります。
共有者の一人が内容を理解していても、ほかの共有者が十分に把握していない状態では、後から「そんな条件だとは知らなかった」という問題が発生する可能性があります。
契約前に不明な点をすべて確認し、共有者全員が納得した状態で契約へ進むことが、共有名義の不動産売却では特に重要です。
14.アパート経営を辞めることは「失敗」ではない
長年アパート経営を続けてきた方の中には、「ここまで続けてきたのだから、できるだけ長く所有したほうがいいのではないか」と考える方も少なくありません。
しかし、所有すること自体が目的になってしまうと、空室や修繕費、固定資産税、借入金返済などの負担が大きくなっているにもかかわらず、経営を続けることになってしまう場合があります。
不動産は所有しているだけで価値が上がるとは限らず、建物が古くなれば修繕が必要になり、賃貸需要の変化によって家賃収入が減少する可能性もあります。
そのため、「今後も所有し続けること」と「今の段階で売却すること」の両方を比較し、所有者にとってより負担の少ない選択肢を考えることが大切です。
アパート経営を辞めることは、必ずしも失敗ではありません。
これまで築いてきた資産を整理し、将来の管理負担や資金計画を見直すための一つの選択肢として、収益物件の売却を考えることもできます。
15.「売りたい」と思った段階で早めに価格を把握する
アパート経営を辞めるかどうか迷っている段階でも、現在の不動産価値を把握しておくことには意味があります。
「まだ売ると決めていないから査定を依頼しにくい」と考える方もいますが、売却価格を知らなければ、今後のローン返済や修繕費、賃貸経営による収益との比較もできません。
現在の査定価格を把握したうえで、「あと何年所有するのか」「大規模修繕をするのか」「借入金を返済しながら経営を続けるのか」「売却して資産を整理するのか」と考えることで、より現実的な判断がしやすくなります。
特に共有名義の物件では、共有者それぞれの事情もあるため、売却を急に決めるのではなく、まず物件の価値と現状を共有することから始める方法もあります。
16.専門家に相談しながら進めることが失敗を防ぐ近道
共有名義の収益物件の売却は、一般的な住宅売却よりも確認事項が多く、所有権、賃貸借契約、借入金、税金、共有者間の合意などを一つずつ整理する必要があります。
だからこそ、「売りたい」という気持ちだけで急いで売却するのではなく、現在の物件状況を整理してから、適切な売却方法を検討することが大切です。
不動産会社には、物件の査定や市場価格の確認だけでなく、売却までの流れや必要書類、売却に伴う費用などについて相談できます。
また、相続登記や共有持分などの法律問題については司法書士、税金については税理士など、それぞれの専門分野があります。
一つの窓口ですべてを判断するのではなく、必要に応じて専門家と連携しながら進めることが、共有名義の収益物件を安心して売却するためのポイントです。
まとめ
筑西市で「もうアパート経営を辞めたい」と考えたとき、最初から売却価格だけを考えるのではなく、現在の入居状況、家賃収入、修繕費、借入金、所有者と持分、賃貸借契約などを一つずつ整理することが重要です。
特に共有名義の収益物件では、共有者全員の意思を確認し、売却価格や時期、費用負担、売却代金の分配方法などについて早い段階から話し合っておくことが、後々のトラブルを防ぐポイントになります。
「共有名義だから売却が難しい」「アパートが古いから売れない」と最初から決めつける必要はありません。
土地や建物の価値だけでなく、現在の賃料収入や入居状況、周辺の賃貸需要などを含めて収益物件としての価値を確認することで、売却という選択肢が現実的になる場合があります。
ひがの製菓(株)不動産部では、筑西市を中心に、貸家やアパートなどの収益物件、共有名義の不動産、相続に関係する不動産などについて、売却のご相談を受けています。売却をすぐに決めるのではなく、まず現在の物件価値や売却方法を知りたいという段階から相談することもできます。
アパート経営を今後も続けるのか、それとも売却して資産を整理するのか迷っている場合には、将来の管理負担や収益性、借入金なども含めて、一度現在の状況を整理してみてはいかがでしょうか。
部署:不動産部
資格:宅地建物取引主任者 二級建築士
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