2025-07-02
近年、相続や離婚といったライフイベントを契機に、複数の名義人が共有する住宅を売却したいと考える方が増えています。しかし、共有名義の不動産は単独所有の物件と比べて手続きや税務、所有権の整理といった点で注意すべき事項が多岐にわたります。そこで、本記事では「ひがの製菓(株)不動産部」の視点から、共有名義の家を売却するにあたって押さえておきたい基本的な流れや法的留意点、相続・離婚などのケース別ポイントを解説します。あくまで一般的な注意点や手続きの流れに焦点を当ててご紹介します。
共有名義とは何か?基本的な仕組みと特徴
共有名義(共有持分)とは何か?
共有名義(共有持分)とは、複数の権利者がそれぞれ一定割合(持分)を所有し、一つの不動産を共同で所有する形態を指します。たとえば、親が亡くなった際に相続人が複数おり、遺産分割協議で「住宅を相続人A・B・Cがそれぞれ1/3ずつ共有する」旨を決めたケースなどが典型例です。離婚時に夫婦間で財産分与として住宅を共有持分にしたケースも同様です。
共有名義ならではの特徴として、まず「共有者全員の同意がないと処分(売却・賃貸など)ができない」点が挙げられます。共有者のうち一人でも売却に反対すれば、原則としてその不動産を第三者に売却することが困難になります。また、共有者間で持分割合が異なる場合は、売却代金の分配比率や管理負担の割合も持分割合に応じて調整されます。
共有持分のメリットとデメリット
このように、共有名義の住宅を売却する際には、複数名の利害や合意形成の手順を円滑に進める必要があります。本稿では、相続や離婚のケースを中心に、具体的な注意点や手続きのポイントを整理していきます。
相続で共有名義となった家を売却する際の注意点
1. 相続発生後の登記と持分確認
相続によって住宅の共有持分となった場合、まずは被相続人(故人)の名義から相続人の名義への名義変更(相続登記)を行わなければなりません。相続登記を行わないと、共有名義自体が法的に確定せず、売却手続きを進めることができないため、最優先で行うべきステップです。
2. 売却の合意形成
共有名義の家を売却するには、すべての共有者(相続人全員)の同意が必要です。共有者同士で意見が食い違うと売り出し自体が頓挫してしまうため、以下のようなポイントで合意形成を図ります。
3. 税務上の注意点
相続後に売却する場合、譲渡所得税や相続税との関係を整理しておく必要があります。
離婚で共有名義になった家を売却する際の注意点
1. 財産分与としての共有持分取得後の売却
離婚時に住宅を共有名義にしたケースとしては、夫婦間で離婚協議や調停・裁判などを経て、「離婚時に夫妻が共同で住んでいた自宅を売却し、その売却代金を折半する」「一方が持分を取得して名義変更するが数年以内に売却する」といった取り決めがあります。以下の点に注意しましょう。
2. 売却時の同意取得と名義変更のタイミング
離婚後、共有者(元配偶者)が別々の住所になることが多いため、売却の連絡や合意取り付けに手間がかかるケースがあります。
3. 税務上の注意点
離婚絡みの売却では、譲渡所得税の計算や課税関係に注意が必要です。
売却手続きの具体的な流れ
1. 共有者全員の協議と合意の取得
共有名義の不動産を売却する第一ステップは「共有者全員が売却に合意していることを確認」することです。この合意なしに不動産会社と媒介契約を結ぶと、あとで共有者の一人が反対して取引が白紙化するリスクがあります。以下の点を事前に整理しておきましょう。
2. 不動産会社への媒介依頼
合意が取れたら、不動産会社に媒介を依頼します。共有名義の場合、以下の点を事前に整理しておくとスムーズです。
3. 売却活動と条件交渉
不動産会社は、売却物件の広告を作成し、インターネット掲載や現地看板の設置、折込チラシの配布などの方法で買い手を探します。購入を希望する第三者との価格や引渡し条件の交渉が始まった際には、共有者代理人を代表者として立てる場合と、共有者全員で買い手との条件交渉に参加する場合があります。
4. 売買契約の締結と履行
買主が決定し、条件交渉がまとまったら売買契約を締結します。共有者全員が売り主(売主)として契約書に署名・押印し、「手付金の受領」「契約不適合責任の範囲」などを明記します。契約後の主な流れは以下のとおりです。
共有名義の家を売却する際に注意すべき法的・契約的ポイント
1. 共有物分割請求制度の活用
共有者間で売却合意が得られない場合、共有者の一人が「共有物分割請求」を裁判所に申し立てることができます。これにより裁判所が分割方法(現物分割、価格賠償、代物分割、価格競売)を決定し、最終的に不動産を競売に付して共有者で分配するなどの手法が採られることもあります。ただし、共有物分割請求は以下のようなデメリットがあるため、最終手段として捉えておくべきです。
共有物分割請求は最終的な選択肢と考え、可能な限り共有者全員で話し合い合意を形成することが望ましいといえます。
2. 任意売却と抵当権抹消の関係
住宅ローンが残っている場合、売却時に抵当権の抹消手続きを同時に行う必要があります。共有名義でローンを組んでいるケースでは、共有者全員が債務者として契約し、連帯して返済責任を負う場合がほとんどです。ローン残債が多く、不動産売却の代金では残債を完済できない場合には「任意売却」が選択肢になることもあります。ただし、任意売却は以下の条件やリスクに注意してください。
3. 名義変更によって発生する税金・手数料
共有名義のまま売却する場合は問題ありませんが、離婚や相続後に一旦「単独名義」に変更してから売却するケースでは、以下のような税金や手数料が発生します。
円滑に売却を進めるための実務上の工夫
1. 専門家への早期相談と連携
共有名義の売却には、司法書士・税理士・弁護士・不動産会社など複数の専門家の協力が必要です。問題が生じやすい相続・離婚のケースでは、以下のポイントで専門家を活用するとトラブルを防ぎやすくなります。
2. 共有者間コミュニケーションの円滑化
相続人や元配偶者など、関係者が多岐にわたる共有名義のケースでは、コミュニケーションが滞ることで売却自体が難航することがあります。以下のような工夫をすると、合意形成が進みやすくなります。
3. 税金や手数料の事前試算とスケジュール管理
売却に関わる税金や手数料については、あらかじめ概算を出して共有者全員に説明しておくことで印象の齟齬を防ぎます。税金や手数料は以下のように多岐にわたるため、事前に検討しましょう。
相続や離婚後に共有名義の売却で陥りがちな代表的トラブルと回避策
1. 共有者の一部が売却に消極的な場合
相続人のうち一部が「今すぐ売却したくない」と主張し、他の共有者が売却を強く希望しているケースは少なくありません。この場合、以下のような対策が考えられます。
2. 売却価格に対する認識のずれ
市場価格に対して期待値が高すぎたり、築年数や立地条件を過小評価して売り急いだりすることで、売却価格を巡るトラブルが起こることがあります。これを回避するためには、以下の点を意識しましょう。
3. 売却後の資金分配に関する不満
売却代金から諸費用を差し引いた後の実質的な分配額を巡ってトラブルになるケースもあります。以下のように事前にシミュレーションを行い、共有者に説明しておくと、売却完了後のトラブルを未然に防げます。
共有名義の家を売却するメリットとデメリットを再確認
メリット
デメリット
まとめ:共有名義の家を売却するためのポイント
共有名義の家を売却するには、相続や離婚といった背景によって多様な留意点があります。しかし、法的手続きや税務面を専門家に確認しつつ、共有者全員で透明性ある合意形成を図ることで、円滑かつ適正価格での売却が可能です。特に相続登記や離婚協議書の整備、売却価格のシミュレーション、共有者間コミュニケーションを重視し、信頼関係を維持しながら進めることが成功のポイントとなります。
本記事が「共有名義の家を売却しよう」と検討されている皆様の参考になれば幸いです。
部署:不動産部
資格:宅地建物取引主任者 二級建築士
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