古家を相続したらまず何をすべき?不動産業者が教える売却の流れ

―手続きや準備を徹底解説!損せず安心して古家を手放すためのステップ―



遺産として古い一戸建てを相続したら、「何から着手すればよいのか」「手続きをどこまで済ませておけば売却がスムーズに進むのか」悩む方は少なくありません。築年数の古い空き家や使わなくなった実家をそのまま放置すると、固定資産税の負担増、建物劣化による修繕コスト、近隣トラブルなど様々なデメリットがあります。
本記事では、筑西市の不動産売却をサポートする「ひがの製菓(株)不動産部」の視点から、古家を相続した直後に行うべき手順と、その後の売却プロセスを段階的に解説します。どなたでも迷わず取り組めるよう具体的な流れと注意点に絞っておりますので、ぜひ参考にしてください。


1. 相続発生直後にまず行うべき準備

1-1. 遺言書の有無と保管場所の確認

被相続人(故人)が遺言書を残しているかどうかを最初に確認しましょう。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、特に自筆証書遺言は家庭裁判所における検認手続きが必要です。検認が終了しない限り、遺言書を開封して内容を確認できません。
もし公正証書遺言であれば、原本は公証役場に保管されているため、公証役場に「遺言書の有無照会」を依頼します。遺言書が見つかれば、遺言執行者の指定や内容に沿った相続手続きを進める必要があるため、早急に確認しておきましょう。

1-2. 戸籍謄本など相続人を特定するための書類収集

相続人が誰になるかは「遺言書がある場合」と「遺言書がない場合」で異なりますが、いずれにしてもまずは被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、相続人の範囲を確定します。具体的には以下を揃えましょう。

  1. 被相続人の戸籍謄本一式(出生から最終戸籍まで)
  2. 相続人全員の戸籍謄本および住民票(または戸籍附票)
  3. 遺言書がない場合は、相続人全員が合意する「遺産分割協議書」を作成する必要があるため、相続人間でスケジュール調整を行う

戸籍謄本の取得には時間がかかるため、相続発生後できるだけ早く管轄の役所へ申請を出し、必要な書類がすべてそろった段階で次のステップに進みます。


2. 古家の現状確認と資産価値把握

2-1. 古家の状態を調査する「現地確認ポイント」

相続した古家を売却するには、まず建物・土地の状態を正確に把握することが重要です。実際に現地へ赴き、下記ポイントをチェックしましょう。

  • 外観の劣化状況:屋根や外壁にひび割れ、雨漏り跡がないか。瓦のずれや板金の錆び具合も確認。
  • 内装・設備の老朽化:床のきしみ、壁紙の剥がれ、雨漏りによる染み、腐食が進んでいないか。キッチン・浴室・トイレなど水回り設備の稼働状態をチェック。
  • シロアリ被害の有無:柱や床下にシロアリ被害がないか、床下や押し入れを開けて確認する。必要であれば専門業者にインスペクションを依頼する。
  • 周辺インフラの状況:上下水道の配管が既存で接続されているか。前面道路の幅員やセットバックの有無。都市計画区域や建築基準法上の制限がないか。
  • 境界と測量図の有無:境界標があるか、隣地との境界があいまいでないか。測量図がない場合、後日測量が必要になる可能性がある。

これらの現況確認により、将来的に必要な修繕コストや、売却時における価格調整要因を把握できます。特に築年数が古い建物は、インスペクション(建物状況調査)を専門家に依頼して詳細な報告書を作成してもらうのが望ましいです。費用は数万円~10万円程度かかりますが、「買主候補に安心感を与え、無用な値下げ交渉を防ぐ」効果があります。

2-2. 土地評価と固定資産税評価証明の取得

相続した古家に付随する土地の評価も重要です。土地の価値は「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」の三点に大別されますが、実勢価格を把握するには固定資産税評価証明書を市区町村で取得し、周辺の実勢地価と比較することがポイントです。

  • 固定資産税評価証明書:土地・建物それぞれの評価額が記載されており、取得費用の算定や譲渡所得税の計算に必要。
  • 公示地価・路線価の確認:国土交通省発表の公示地価や国税庁の路線価をインターネットで確認し、相続地の単価を把握する。固定資産税評価額は公示地価の約70%程度に設定されることが多い。
  • 周辺成約事例の調査:近隣で似た条件(面積・接道状況・築年数など)の物件がいくらで取引されたか不動産ポータルや地元業者から情報をもらい、おおよその実勢価格を推測する。

これらを踏まえ、机上査定時に「固定資産税評価額=○○万円」「周辺の公示地価は△△万円/㎡」「近隣成約事例では坪単価▲▲万円」などの情報を提示できるように準備しましょう。売却価格の根拠を明確にすることで、査定担当者や買主に信頼感を与えられます。


3. 相続登記と名義変更の手続き

3-1. 相続登記義務化に伴う注意点

20214月以降、相続開始から3年以内に相続登記を行わないと過料が課される法改正が施行されました。相続登記を怠ると「誰が所有者なのか不明な土地(所有者不明土地)」が増え、売却しづらくなるだけではなく、将来的に罰則を受ける可能性もあります。相続登記には以下の書類が必要です。

  1. 被相続人の戸籍謄本一式(出生から死亡まで)
  2. 相続人全員の戸籍謄本・住民票または戸籍附票
  3. 遺産分割協議書(遺言書がない場合)または遺言書(ある場合)
  4. 登録免許税:固定資産評価額×0.4%(土地・建物それぞれ)
  5. 登記申請書・添付書類チェックリスト

手続きは司法書士に依頼すればスムーズですが、相続人間の合意形成が整っていないと遺産分割協議書の署名押印まで時間がかかります。相続人が複数いる場合は、「遺産分割協議書に「古家売却後の売却代金を相続人間でどのように分配するか」を明記」し、不動産登記と売却後の財産分与とをリンクさせておくとトラブルを未然に防げます。

3-2. 共有名義から単独名義への切り替え(必要に応じて)

相続登記を行った後、複数の相続人が共有名義となるケースが多いでしょう。共有名義のまま売却する場合は全員の同意を得る必要があるため、売却を進める際に遺産分割協議書に「売却代金を相続人で按分する方法」を記載しておくとスムーズです。
ただし、共有名義は買主から敬遠されやすく、価格面で不利になることがあります。可能であれば、次のように対応を検討します。

  1. 相続人の一人が他の相続人から持分を買い取る(代償分割)
    • 代償金額は「土地・建物の時価評価額×持分割合」を基準に、相続人間で調整。
    • 購入資金を代償金として支払う場合、贈与税や譲渡所得税の課税要件に注意。税理士にシミュレーションを依頼しておく。
  2. 先に売却してから分配する(売却分割)
    • 古家を現況有姿で売却し、売却代金を相続人間で按分。売却価格が評価額を下回る場合は相続人全員が損失を負うことになるため、相続人間で合意したうえで行う。
    • 売却価格が固定資産税評価額より大幅に下回ると、譲渡所得税が増える場合がある。税理士に相談して節税対策を検討する。

共有名義を解消せずに売却するケースでは、買主が「将来の再建築や増改築を躊躇する」ことも少なくありません。そのため、共有名義か単独名義かで価格差が生じやすいことを理解し、相続人間でどの方法が最もメリット・デメリットが少ないか十分に協議してから決断しましょう。


4. 不動産業者への相談と査定依頼

4-1. 机上査定で相場感を掴む

古家売却の流れは、まず複数の不動産会社に机上査定を依頼して相場感をつかむことから始まります。机上査定では、以下の情報を正確に伝えましょう。

  • 土地面積・建物面積・築年数・構造(木造・鉄骨造など)
  • 間取り図や登記簿謄本に記載された地目・地番・所有者などの情報
  • 前面道路の幅員・用途地域・都市計画区域指定(市街化調整区域である旨)
  • インフラ状況(上下水道引込済みかどうか、電気・ガスの引込状況)
  • 周辺環境(最寄り駅、バス停、商業施設、商店街、学校区など)

これらをもとに、各社は「近隣の成約事例」「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」を加味して価格を提示します。複数社の査定額を比較し、査定根拠を丁寧に説明してくれる業者を選ぶことが売却成功の第一歩です。

4-2. 訪問査定と現地調査のポイント

机上査定で得た相場感を受けて、次は訪問査定を依頼します。訪問査定では、担当者が古家を実際に見て、より精度の高い査定を行います。訪問査定時には以下の点を着目してもらいましょう。

  1. 建物の耐震性・構造躯体の劣化状況
    • 柱や梁の腐食、シロアリ被害、雨漏りによる腐朽などを確認。インスペクション報告書を提出しておくと、査定時の参考資料として活用でき、買主に信頼感を与えられる。
  2. 修繕が必要な箇所と概算修繕費用
    • 壁紙や床の補修、屋根の葺き替え、水回り設備の交換など、大規模な修繕が必要かどうかを把握し、修繕後の想定価格と現状渡しの想定価格を比較。どちらが売却価格に有利かを検討する。
  3. 土地形状・接道状況・セットバックの有無
    • 形の悪い敷地や袋地、定められた道路幅を満たさない場合は、建築許可が下りない可能性がある。接道要件を満たしているかを現地で確認し、査定額に反映する。
  4. 権利関係の確認
    • 共有名義であれば持分状況を、抵当権や地上権が設定されていればその内容を事前に提示し、査定担当者に共有する。権利関係が複雑だと、売却時に買主が敬遠しやすいため、可能であれば事前に整理しておくことが望ましい。

訪問査定でより詳細な査定額が提示されると同時に、その根拠となる資料(測量図、インスペクション報告書、修繕見積書など)を提出できるように準備しておきましょう。


5. リフォーム・解体・現状渡しの検討

5-1. 最低限必要なリフォームと費用対効果

古家を売却する際、必ずしも全面リフォームをする必要はありませんが、「最低限のクリーニング」「簡易補修」「汚れの除去」は買い手の印象を大きく左右します。コストを抑えつつ効果が高いリフォーム例を以下に挙げます。

  1. 全室・外回りの簡易クリーニング
    • 床や畳のホコリ・汚れを取り除き、壁紙の汚れやカビを拭き取る。水回りはカビ取り剤を使用して徹底的に掃除し、照明や窓を磨いて明るい印象を演出する。費用は数千円~数万円程度で済む。
  2. 壁紙の部分張替え
    • 汚れや剥がれが目立つ箇所だけ壁紙を張り替える。1面あたり1万円前後から施工可能で、室内全体が清潔感を取り戻せる。
  3. 設備機器の動作確認と最低限の修繕
    • キッチンの蛇口の水漏れやトイレの詰まりなどは修理業者に依頼し、稼働状態を確認。故障しているまま放置すると「買主が購入後すぐに交換費用を負担しなければならない」と感じ、売却価格が下がる要因となる。
  4. 外壁・屋根の高圧洗浄
    • 外壁塗装が劣化してコケや汚れが目立つ場合、高圧洗浄機で汚れを落とすだけで外観が大幅に改善する。費用は5万円程度で外観イメージが向上し、査定評価がアップしやすい。

これらの簡易リフォームで、おおむね20万円~50万円程度の費用でできる範囲をカバーできます。買い手側の「購入後にかかる修繕費」を抑えられるという安心感を提供することで、成約までの時間を短縮しやすくなります。

5-2. 解体と更地渡しの可否検討

古家が著しく老朽化し、リフォーム費用が高額になる場合や、建物の構造躯体が劣化・腐食していて安全性が担保できない場合は、「解体して更地渡しにする」ことを検討しましょう。解体して更地にすると、建築制限がない土地として買い手を広く募集できますが、解体費用(地方都市では一般的に坪34万円程度)がかかります。解体後に必要な手続きは以下の通りです。

  1. 建物解体業者の選定と見積もり取得
    • 複数社に見積もりを依頼し、「建物規模」「資材運搬費」「産業廃棄物処理費用」「仮設足場費用」「残置物撤去費用」などを明示してもらう。
    • 解体工事は「揚重作業」や「廃材運搬・処分」のコストが意外と膨らむため、最終見積書をよく確認し、不明点を解消してから契約する。
  2. 解体前の各種届け出
    • 建築基準法に基づく「解体工事届」を市区町村に提出し、近隣住民への工事開始通知を行う必要がある。届け出用の図面や解体計画を合わせて作成し、届け出にかかる期間(通常7日前後)を考慮してスケジュールを組む。
    • 路上駐車禁止エリアや交通量の多い道路沿いの場合は「道路占用許可」や「臨時駐車場設置許可」などが必要になるケースがあるため、自治体に確認する。
  3. 更地の測量と境界確定
    • 解体後は「更地としての測量」を行い、境界確定測量図を取得すると、売却時に買い手が安心して境界を把握できる。測量費用は規模にもよるが、概ね2030万円前後かかる。
    • 境界確定測量が完了すれば、境界基点(境界標)が設置され、登記事項証明書上の面積と実測面積が一致していることを確認できるため、売却時に余計な交渉を防げる。

解体後の更地渡しは買い手層を広げる一方、初期費用が膨らむため、売却価格と解体コストを十分に比較検討する必要があります。解体せずに現況渡しとして売却する場合は、「建物付き古家としての売却」が可能ですが、買い手がリフォームや解体コストを負担する分、価格が下がることを覚悟しましょう。


6. 売却方法の選択:仲介売却 vs 業者買取

6-1. 仲介売却の流れとメリット・デメリット

仲介売却とは、不動産会社に媒介契約を結び、店頭やネットを通じて不特定多数に情報を公開して買い手を探す方法です。主な流れは次の通りです。

  1. 媒介契約締結
    • 売主と不動産会社が「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」のいずれかを選び契約を結ぶ。調整区域案件では、情報の秘匿性が重要なため、一般媒介よりも専任媒介契約を推奨する。
  2. 販売価格の決定・広告活動開始
    • 査定結果をもとに売出し価格を決定し、売主の希望条件(引渡し時期、現況渡しか更地渡しか)などを含めた販売図面を作成。ポータルサイトや店頭チラシ、折込広告、現地看板に掲示する。
  3. 内覧対応
    • 買い手候補から内覧希望の連絡が入ったら、仲介担当者が案内を実施。売主は立ち会わずに、受け答えは担当者に任せることでプライバシーを保護する。
  4. 買付申し込みと価格交渉
    • 買い手から買付申し込み(購入申込書)が提出されたら、価格・条件交渉を行う。古家の場合、瑕疵担保責任免責の特約や現状有姿売買など、契約条件を明確にしてトラブルを回避する。
  5. 売買契約締結
    • 売買契約時には手付金を受領し、契約書に「固定資産税・都市計画税の日割り精算」「境界確定測量費用負担」「解体義務の有無」など特約事項を記載する。
  6. 決済・引渡し
    • 決済当日は、買主のローン実行売主への売買代金振込売主がローン残債一括返済(抵当権抹消)、司法書士による登記申請鍵引き渡しを実施。

メリット

  • 市場価格での売却が可能で、高値成約を狙いやすい。
  • 買い手が複数社比較することで相場が明確になる。
  • 売主の希望条件(引渡し時期、現況渡しなど)を柔軟に伝えられる。

デメリット

  • 売却完了までに数カ月~半年程度かかることがある。
  • 古家や市街化調整区域の物件は買い手が限定されるため、成約まで時間を要する可能性が高い。
  • 売却活動の進捗に応じて価格見直しの判断やリフォームの追加対応が必要となる場合がある。

6-2. 業者買取(即時買取)の特徴

業者買取とは、不動産会社が「相場価格よりやや低い設定」で買い取り、リフォームや企画を行って再販する方法です。スピード重視で売却したい方や、現況有姿での売却を希望する方に向きます。主な流れは以下の通りです。

  1. 買取査定依頼
    • 仲介査定とは別に、買取専用の査定を依頼し、「最低買取価格」を提示してもらう。
  2. 買取価格の交渉
    • 査定価格から「リフォームコスト」「解体コスト」「再販売時のリスク」を差し引いた金額が買取価格となるため、提示価格に納得できるかどうかを判断。
  3. 買取契約締結
    • 仲介売却とは異なり、売主と買取業者の間で「売渡証書」を交わし、契約不適合責任の範囲や引渡し時期を明確にする。
  4. 決済・引渡し
    • 決済当日は仲介売却と同様に、買主が金融機関融資を利用する場合はローン実行後に売主の口座へ一括振込。抵当権抹消や登記変更を経て鍵を引き渡す。

メリット

  • 仲介売却に比べて買取が早く、数週間~1カ月程度で売却が完了する場合がある。
  • 現況有姿で売却できるため、リフォームや広告費用をかけずに現金化できる。
  • 相続人間でのスピーディな現金分配が可能となるため、特に相続人間の事情調整が難しい場合に有効。

デメリット

  • 買取価格は仲介売却相場よりも20%~30%程度低くなることが多い。
  • リフォーム後の再販リスクを業者が負担するため、売主側の手取り額が下がる。
  • 古家の状態によっては買取を断られる場合や、地盤改良等の追加コストを差し引かれる可能性がある。

売却のスピードを重視するか、高値成約を狙うかで最適な方法は異なります。相続発生直後に資金分配を急ぐ場合は買取も検討しつつ、複数社の買取査定を比較してから決めると後悔が少なく済みます。


7. 契約時の注意点と決済後の諸手続き

7-1. 売買契約書に盛り込むべき特約・条項

古家を売却するとき、契約書には以下の特約条項を盛り込むことでトラブルを未然に防げます。

  1. 現況有姿売買と瑕疵担保責任免責(契約不適合責任免責)
    • 古家の内部構造や配管状態、シロアリ被害などは事前にインスペクション報告書を提示し、契約書に「本報告書に記載のない瑕疵については瑕疵担保責任を負わない」と明記する。
  2. 境界確定測量の実施・費用負担
    • 売買契約締結後に「売主が金融機関から買取業者へ測量を依頼し、測量図を作成する」「測量費用は売買代金から精算する」など、測量の実施時期と費用負担を明確にする。
  3. 固定資産税・都市計画税の日割り精算
    • 決済日を基準に日割りで税金を精算する旨を契約書に盛り込み、当日の精算をスムーズに行う。
  4. 引き渡し期日と遅延損害金
    • 売主が荷物整理や契約書類の不備で引き渡しが遅れた場合、1日につき〇〇円の遅延損害金を設定することで、買い手の不安を抑え、確実に引き渡しを完了させる。
  5. 解体義務の有無
    • 古家を解体して更地渡しとする場合は「売主が契約締結後〇ヶ月以内に解体を完了し、整地して引き渡す」「解体費用は売主負担とする」と記載する。現況有姿渡しにする場合は、その旨を明記し、「買主が解体・リフォーム費用を負担する」条件を契約書に明示する。

上記特約を明文化しておくことで、買主との間で「引き渡し後の瑕疵発覚」「境界トラブル」「税金精算漏れ」といった問題を避けられます。

7-2. 決済当日の流れと司法書士連携

決済当日は以下の手順で手続きを進めます。

  1. 買主のローン実行売主の指定口座への売買代金振込
    • 買主が金融機関から融資実行を受け、一括で売主指定口座へ振り込む。買取の場合は買取業者が自社資金で支払うケースもある。
  2. 抵当権抹消手続き
    • 売主にローン残債がある場合は、売買代金から残債を一括で返済し、金融機関から「抵当権完済証明書」を取得する。取得後、司法書士に渡し、法務局へ抵当権抹消登記を申請する。
  3. 所有権移転登記申請
    • 抵当権抹消と同時に、買主名義への所有権移転登記を司法書士に依頼する。登記申請書類(登記申請書、委任状、登記事項証明書、印鑑証明書など)を提出し、受付済証(受付シール付き申請書)を買主へ渡す。買主は「申請受理済み」という証明をもって鍵を受け取ることができる。
  4. 鍵の引き渡し
    • 司法書士による登記申請受理後、売主が現地に残していたスペアキー一式を買主へ渡す。鍵交換が必要な場合は、事前に業者へ依頼し、新しい鍵を用意しておく。
  5. 固定資産税・都市計画税の日割り精算金の支払い
    • 売買契約書に記載の通り、決済日を基準に日割りで精算を行い、買主または売主が精算金を支払う。特に年度末近くの決済の場合、税額が膨らむため、契約前に精算シミュレーションを行っておく。

決済当日の流れを円滑に進めるためには、司法書士へ事前に「決済日にはオンライン申請を確実に行ってほしい」と依頼し、売主・買主双方の必要書類(印鑑証明書、実印、住民票など)をすべて揃えておきましょう。


8. 売却後の税務と書類管理

8-1. 譲渡所得税の申告

古家を売却して利益が出た場合、譲渡所得として課税対象となります。譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 売却代金 -(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:購入時の取得費用(購入代金+購入時の諸経費+リフォーム費用など)。相続財産の場合は「相続時の評価額」が取得費になる。
  • 譲渡費用:仲介手数料、抵当権抹消費用、解体費用、測量費用、印紙税など、売却に直結した費用。

取得から売却までの保有期間が5年以下なら短期譲渡所得(税率39%前後)、5年を超えれば長期譲渡所得(税率20%前後)が適用されます。相続財産の場合は「取得日=被相続人の死亡日」とみなされるため、相続後5年を超えて売却すれば税率軽減のメリットがあります。売却後は翌年の216日~315日の確定申告期間中に、税務署へ申告・納税を行ってください。

8-2. 書類保管とアフターフォロー

売却にまつわる重要書類は、後々のトラブルを防ぐためにも長期間保存しておきましょう。具体的には以下の書類を少なくとも5年間は保管します。

  1. 売買契約書の原本および領収書
  2. 登記事項証明書(売却前・売却後それぞれ)
  3. 固定資産税評価証明書・課税明細書(相続時と売却後)
  4. インスペクション報告書や修繕費領収書(瑕疵担保責任免責の根拠として必要)
  5. 解体費用領収書、測量費用領収書などの買取費用に関わる書類
  6. 譲渡所得税申告書の控え・納税額証明書

また、売却後に万一買主から「引渡し後に雨漏りが見つかった」「配管が詰まっていた」などのクレームがあった場合、契約書に瑕疵担保責任免責特約を入れていれば売主の責任範囲を限定できます。書類保管をきちんと行い、買主とのトラブルを未然に防ぐことが大切です。


9. まとめ:まずは現状把握と専門家への相談を

古家を相続した直後は、「戸籍謄本や住民票の収集」「遺言書・遺産分割協議書の準備」「相続登記手続き」といった法的手続きに追われる一方で、「古家の状態確認」「机上査定による相場把握」「簡易リフォームや解体の検討」など、やるべきことが数多くあります。これらを順序立てて進めるのは容易ではありません。この記事でご紹介した流れはあくまでも一般的なガイドラインですので、以下のポイントを念頭に置いて行動しましょう。

  1. 相続登記は3年以内に必ず行う
    法改正により、相続開始から3年以内に登記をしないと過料が課される可能性があります。相続人間での合意が整わなくても、相続登記そのものは「相続人各自が単独で申請可能」です。早めに手続きを済ませ、所有権を明確化しておきましょう。
  2. 古家の現状を正確に把握し、机上査定で相場感を掴む
    現地確認を行い、インスペクション報告書や周辺成約事例をもとに正確な相場感を不動産会社から得ることで、「想定外に安く買われる」リスクを回避できます。複数社比較を行い、査定根拠が納得できる業者を選びましょう。
  3. リフォーム・解体・現状渡しのコストとメリットを比較検討する
    簡易的なクリーニングや補修で十分な場合は現状渡しで売却し、より高値成約を目指す。解体コストが販売価格を上回る場合は現状渡しのまま売却する判断もあり得ます。解体・更地渡しを選ぶ場合は測量・境界確定まで見据えておきましょう。
  4. 仲介売却か業者買取かを目的に合わせて選択する
    高値でじっくり売りたいなら仲介売却を、スピード重視で現金化したいなら業者買取を選ぶのが適切です。いずれの場合も、事前に税理士や司法書士へ相談し、税金や手続き面のリスクを把握しておきましょう。
  5. 契約特約をしっかり盛り込み、決済当日までのスケジュールを徹底管理する
    瑕疵担保責任免責、境界確定測量、固定資産税精算、引き渡し遅延リスクなどを契約書に明文化し、決済当日は司法書士立会いのもと、売買代金の受領ローン返済抵当権抹消登記所有権移転登記申請鍵引き渡しという一連の流れを着実に完了させましょう。

これらのステップを踏むことで、古家相続後の売却は確実に、かつ安心して進めることができます。筑西市で古家を相続され売却をお考えの方は、「ひがの製菓(株)不動産部」へぜひご相談ください。専門スタッフが法的手続きから査定、リフォーム・解体判断、契約・決済、税金申告までトータルでサポートし、最適な売却プランをご提案いたします。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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部署:不動産部

資格:宅地建物取引主任者 二級建築士

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