2025-10-31

「親から相続した家が市街化調整区域にある」「長年使っていない古い家を処分したいけれど、そもそも売れるのだろうか」「建物もかなり古くなっているので、更地にしないと買い手が見つからないのではないか」といったご相談は、筑西市の不動産売却を考える方から実際によく聞かれる疑問の一つです。
特に、市街化調整区域という言葉から「建物を建てられない土地」「利用価値のない土地」「売却するのが難しい土地」というイメージを持たれる方は少なくありませんが、不動産の売却実務では、区域指定だけを見て売れる・売れないを判断することはできず、現在建っている建物がどのような経緯で建築されたのか、再建築や増改築が可能なのか、道路や上下水道などの状況はどうなっているのかといった個別の確認が非常に重要になります。
結論から申し上げると、筑西市の市街化調整区域にある古家でも、売却できる可能性は十分にあります。
ただし、「市街化区域にある一般的な中古住宅と同じように売れる」と考えるのは危険であり、買主がその建物や土地をどのように利用できるのかを明確にしたうえで、物件の特徴に合った売り方を考える必要があります。
今回は、筑西市で不動産売却に携わる立場から、市街化調整区域にある古家について、「実際のところ売れるのか」「なぜ売却が難しくなるのか」「古い建物を残したまま売る意味はあるのか」「更地にするべきなのか」など、売主様が気になりやすいポイントをできるだけ分かりやすく解説します。
そもそも市街化調整区域とはどのような場所なのか
市街化調整区域とは、都市計画法上、市街化を抑制することを基本的な考え方として指定されている区域であり、住宅や店舗などを自由に建築して市街地を広げていくことを前提とした区域ではありません。
そのため、市街化区域にある土地と比較すると、土地を購入した後に「好きな建物を建てたい」「古い家を壊して新築住宅を建てたい」と考える買主にとって、確認しなければならない事項が多くなります。
茨城県の案内でも、市街化調整区域では、開発行為を伴わずに建築物を建築する場合に都市計画法第43条の建築許可が必要となるケースが示されており、建築できるかどうかは土地ごとの状況や適用される許可基準を確認する必要があります。
つまり、市街化調整区域だから建物が一切存在できないという意味ではなく、一定の条件や許可制度のもとで建築物が認められるケースがあるため、「調整区域=売却不可」と考えるのは正確ではありません。
むしろ不動産売却の現場では、「この土地にはどのような利用制限があるのか」「現在の建物は適法に建築されたものなのか」「現在の建物を使い続けられるのか」「将来的に建て替えが可能なのか」という個別判断こそが重要になります。
古家が残っていること自体が「売れない理由」になるとは限らない
市街化調整区域の古家について相談を受けた際、売主様から非常に多く聞くのが、「こんなに古い家では売れないですよね」という言葉です。
しかし、不動産会社の立場からすると、建物が古いという一点だけで売却可能性を判断することはできません。
たとえば、築年数がかなり経過していて一般的な住宅としての価値が低くなっていたとしても、土地の広さや敷地の形状、周辺環境、道路との接し方、既存建物の状態、住宅としての利用履歴などによって、購入を検討する人が現れる可能性があります。
また、古家を購入したい人の中には、最新の新築住宅を求めているのではなく、「現在の建物を最低限修繕して使いたい」「倉庫や作業場として活用したい」「広い敷地を利用したい」「家庭菜園や農業と組み合わせて使いたい」など、一般的な中古住宅購入者とは違った目的を持つ人もいます。
そのため、売主様が「自分には価値がないように見える」と感じている古家であっても、別の視点から見ると価値を見いだせる場合があり、最初から建物を解体してしまうのではなく、現在の状態を確認してから売却方法を決めることが重要です。
一番重要なのは「その古家を今後も使えるのか」という点
市街化調整区域にある古家を売却するとき、私たちが特に重要だと考えるのが、現在建っている建物を買主が今後どのように利用できるのかという点です。
普通の中古住宅であれば、「家が建っていて、道路にも接していて、住宅として使える」という前提で話が進みやすいのですが、市街化調整区域の場合には、建物の存在だけを見て判断すると後から問題が発生する可能性があります。
たとえば、現在の建物を使用することと、建物を取り壊した後に同じ場所へ新しい住宅を建築することは、必ずしも同じ扱いになるとは限りません。
この違いを理解しないまま、「古い家を壊して新しい家を建てればいい」と考えてしまうと、購入後の建築計画が思ったように進まず、買主とのトラブルにつながることがあります。
茨城県でも、市街化調整区域における開発許可や建築許可について一定の基準が設けられているため、実際の売却では、対象不動産について行政上どのような扱いになっているのかを確認することが欠かせません。
「古家付きのまま売る」ことには意味がある
古家を所有している方の中には、「買主に嫌がられるから、先に解体して更地にしたほうが売りやすいのではないか」と考える方もいますが、市街化調整区域の場合は、必ずしも更地にすることが正解とは限りません。
なぜなら、古家を解体することで建物がなくなり、見た目はすっきりしたとしても、買主が新たに建築できることまで保証されるわけではないからです。
むしろ、現在建っている建物の存在や過去の利用状況が、その土地を判断するうえで重要な情報になる場合もあるため、解体を先に行ってしまうと、売却戦略の選択肢を狭めてしまう可能性があります。
もちろん、建物の老朽化が著しく、修繕が困難である場合や、建物を残すことで維持管理上の負担が大きくなる場合には、更地化を検討する意味がありますが、それは「解体すれば必ず高く売れる」という単純な話ではありません。
解体費用も売主様の負担になるため、売却価格と解体費用のバランスを考えながら、古家付きで売るのか、更地にして売るのかを判断することが大切です。
再建築できるかどうかで不動産の見え方は大きく変わる
市街化調整区域の古家を売却する際、買主が非常に気にするポイントが「再建築できるのか」という問題です。
現在の建物が使えるとしても、将来その建物が老朽化した場合に建て替えができるのか、増築や改築を行う場合にどのような許可が必要になるのかによって、購入後の使い勝手や資産価値に対する買主の考え方は大きく変わります。
特に、「今は家が建っているから、同じ場所なら将来も自由に新築できるだろう」と考えるのは危険であり、建物の建築時期や土地の履歴、接道状況、過去の許可関係などを調べたうえで判断する必要があります。
筑西市の市街化調整区域にある中古住宅についても、既存建物の建築経緯や再建築の可否によって購入希望者の判断が変わるため、売却前に行政窓口などで確認しておくことが重要です。
「既存の家がある」ということを正しく評価する
市街化調整区域の古家では、「築年数が古いから建物価格はゼロ」と考えることがありますが、不動産売却では、建物価格がゼロに近いことと、建物が存在する意味がないことは別の話です。
たとえば、現在の住宅が一定の条件のもとで利用されている場合、買主にとっては「新しく建物を建てる土地」ではなく、「既存の建物を利用できる土地」として検討できる可能性があります。
もちろん、実際にどのような利用ができるかは個々の物件と法令、行政の判断によって異なるため、「古家があるから必ず有利」と言うこともできませんが、少なくとも建物を単純に邪魔なものとして扱うのではなく、その建物が土地の利用可能性にどのような意味を持つのかを確認することが大切です。
不動産会社としては、査定時に土地だけを見るのではなく、建物の状態や築年数、過去の利用状況、道路、上下水道、周辺環境などを総合的に確認し、買主側から見た物件の価値を考える必要があります。
道路との接し方も古家売却では見逃せない
市街化調整区域の古家を売却する場合、建物そのものだけでなく、敷地が道路にどのように接しているかという「接道」の問題も非常に重要です。
住宅として利用されている土地であっても、現在の建物が建築された時代と現在では、道路や建築に関するルールが異なることがあるため、現在の建物が存在しているという事実だけで、将来的な建て替えまで認められるとは限りません。
道路の種類や幅員、敷地の間口、道路との位置関係などによって、買主が希望する建築計画に影響する可能性があるため、売却活動を始める前に確認しておくことが重要です。
特に、昔から住んでいるご家族にとっては当たり前の出入り口であっても、法律上の道路としてどのように扱われるのかは別問題になることがあるため、「昔から車が出入りしているから大丈夫」という感覚だけで判断しないことが大切です。
農地が絡む場合はさらに話が変わってくる
筑西市周辺では、住宅と農地が隣接していたり、広い敷地の一部が田や畑として登記されていたりする不動産も珍しくありません。
市街化調整区域内の土地に農地が含まれている場合には、単純な中古住宅の売却とは異なり、農地法による許可や転用などについて確認しなければならないケースがあります。
売主様からすると「家の敷地の一部」という感覚でも、登記上あるいは農地法上は田や畑として扱われていることがあり、その土地を購入者が住宅用地や別の用途として利用したい場合には、別途手続きが必要になる可能性があります。
そのため、古家の売却を考える際には、建物と宅地だけを見るのではなく、土地の地目や農地の有無、農業振興地域などの指定についても確認することが重要になります。
「売れる価格」と「売りたい価格」は違う
市街化調整区域の古家を売却するときに、もう一つ現実的に考えなければならないのが価格です。
売主様としては、長年大切にしてきた家であれば、それなりの価格で売りたいと考えるのが当然ですが、不動産の価格は建築費や購入時の価格だけで決まるものではなく、現在の市場で買主がどの程度の利用価値を感じるかによって決まります。
特に市街化調整区域では、建築や用途に一定の制限があるため、市街化区域の土地と同じ感覚で価格を設定すると、問い合わせが少なくなったり、売却期間が長期化したりする可能性があります。
一方で、「調整区域だから土地価格はほとんどない」と最初から決めつけることも適切ではなく、広い敷地、既存建物、周辺の住宅状況、道路条件、生活利便性、農地との関係など、個別の条件を総合して価格を考える必要があります。
だからこそ、査定では単純な坪単価だけではなく、「どのような買主ならこの物件を購入する可能性があるのか」という視点を持つことが重要になります。
古家を売るときに「リフォーム」は必要なのか
一般的な中古住宅であれば、売却前に内装をきれいにしたり、水回りを交換したり、外壁を塗装したりすることで印象を良くする方法があります。
しかし、市街化調整区域にある古家の場合には、リフォームに多額の費用をかければ、その分だけ売却価格が上がるとは限らないため、慎重に判断する必要があります。
なぜなら、買主の中には「自分で好きなように改修したい」と考える人もいれば、「住宅としてではなく別の用途で使いたい」と考える人もいるため、売主様が良かれと思って行ったリフォームが、必ずしも購入希望者のニーズと一致するとは限らないからです。
特に築年数が古い住宅の場合には、表面的なクロス張替えだけでなく、屋根、基礎、構造、給排水設備、電気設備などについても確認が必要になるため、売却前にどこまで費用をかけるべきかを総合的に判断することが大切です。
売却では「物件の弱点を隠さない」ことが重要
市街化調整区域の古家を売却する場合、「再建築できるか分からない」「昔の建築確認書類が見つからない」「境界がはっきりしない」「古い井戸がある」「浄化槽を使用している」など、売主様自身も把握していない問題が出てくることがあります。
こうした情報を「買主に知られたら売れなくなる」と考えて隠してしまうのは、結果的に売主様にとって大きなリスクになります。
不動産取引では、後になって重要な事実が判明すると、契約条件の見直しやトラブルにつながる可能性があるため、分からないことは分からないままにするのではなく、売却前に調査して、確認できた事実をもとに買主へ説明できる状態にしておくことが重要です。
特に市街化調整区域では、建築や土地利用に関する情報そのものが物件価値に影響するため、一般的な中古住宅以上に「調査してから売る」という考え方が大切になります。
不動産業者のリアルな見解――「売れない」のではなく「普通の売り方では難しい」
私たちが市街化調整区域の古家について率直に申し上げるなら、「売れない物件」というより、「一般的な住宅と同じ売り方をすると難しい物件」と考えるほうが実態に近いと思います。
市街化区域の住宅であれば、「駅から何分」「築何年」「土地何坪」「建物何坪」といった一般的な住宅情報を中心に購入希望者を探せますが、市街化調整区域の古家の場合には、それに加えて「現在の建物を利用できるのか」「再建築は可能なのか」「どのような用途が考えられるのか」「農地が含まれているのか」「道路条件はどうなっているのか」といった専門的な情報が重要になります。
つまり、物件そのものに価値がないというより、「その物件を誰に、どのような価値として伝えるか」が難しいのです。
だからこそ、市街化調整区域の物件では、地域の土地事情や行政上の取り扱いを理解し、物件ごとの条件を調べたうえで販売方法を組み立てることが重要になります。
「相続したけれど住む予定がない」という方こそ早めの相談を
筑西市では、親から相続した住宅を使わないまま所有し続けている方からの売却相談も考えられます。
特に市街化調整区域にある家は、「田舎だから買い手がいないだろう」「古いから売れないだろう」と考えてしまい、何年も空き家のままにしてしまうケースがあります。
しかし、空き家は時間が経過するほど建物の劣化が進み、庭木や雑草の管理、雨漏り、害虫、設備の故障など、新たな負担が発生する可能性があります。
さらに、相続した不動産の場合には、所有者本人が長年住んでいた家ではないため、「建築された時期が分からない」「増築したかどうか分からない」「土地の境界が分からない」といった問題も起こりやすくなります。
そのため、すぐに売るかどうかを決めていなくても、まず現在の不動産がどのような状態なのかを把握しておくことは、将来的な売却や活用を考えるうえで意味があります。
最初から「解体する」と決めないことが大切
古家を所有していると、「解体費用がかかるから売れない」「古い家を残していたら印象が悪い」と考えてしまいがちですが、市街化調整区域の場合は、解体前に一度立ち止まって考えることをおすすめします。
建物を解体すると見た目はきれいになりますが、建物がなくなった後に同じような住宅を自由に建築できるとは限らず、場合によっては古家が存在している状態とは異なる判断が必要になることがあります。
したがって、解体するかどうかは、「古いから壊す」という単純な判断ではなく、行政上の建築可否、建物の状態、土地の条件、解体費用、想定される買主などを踏まえて判断するべきです。
不動産売却では、「売りやすくするためにお金をかける」のではなく、「お金をかけたことで本当に売却しやすくなるのか」を考えることが非常に重要です。
市街化調整区域の古家は「土地+建物」だけで考えない
市街化調整区域にある古家の売却では、「土地はいくら」「建物はいくら」という単純な考え方だけでは、物件の特徴を十分に評価できない場合があります。
たとえば、土地が広い場合には敷地の使い方そのものに価値があるかもしれませんし、既存建物があることで利用方法を考えやすくなる場合もあります。
反対に、接道条件や建築制限、農地法などの制約が大きければ、一般的な住宅を探している買主には選ばれにくくなる可能性があります。
だからこそ、査定や売却方針を考えるときには、「この土地はいくらですか」という質問だけではなく、「この物件を購入する可能性がある人はどのような人ですか」というところまで考える必要があります。
この視点を持つだけでも、市街化調整区域の古家に対する見方は大きく変わってきます。
筑西市の古家売却で大切なのは「個別に調べる」こと
市街化調整区域の不動産については、「調整区域だから建築できない」「古家だから価値がない」といった一律の判断をすることが最も避けたいところです。
同じ筑西市内の市街化調整区域であっても、土地の場所、建築された時期、既存建物の状況、道路、地目、農地の有無、過去の許可や利用状況などによって、取り扱いが変わる可能性があります。
行政上の許可基準についても、都市計画法上の立地基準などによって内容が細かく定められており、茨城県では都市計画法第34条に関する許可基準も公開されています。
したがって、「知人から調整区域は売れないと言われた」「インターネットで再建築不可と書いてあった」といった一般論だけで売却を諦める必要はありません。
その土地について実際に何ができるのかを確認し、その情報をもとに売却方法を考えることが、遠回りに見えても結果的には近道になることがあります。
まとめ――筑西市の市街化調整区域にある古家でも、売却の可能性はある
筑西市の市街化調整区域にある古家は、市街化区域の中古住宅と比べて確認事項が多く、買主側にも建築や土地利用に関する知識が求められるため、確かに「簡単に売れる不動産」とは言いにくい部分があります。
しかし、「市街化調整区域だから売れない」「古家だから売れない」という考え方は、必ずしも正しくありません。
重要なのは、その物件が現在どのような状態にあり、どのような経緯で建てられ、どのような利用が可能なのかを調査したうえで、その特徴を理解してくれる購入希望者に情報を届けることです。
特に、現在の建物を利用できる可能性、再建築や増改築に関する条件、道路との接し方、上下水道などのインフラ、土地の地目、農地法上の手続きの有無などは、売却価格や購入希望者の判断に大きく関係するため、売却活動を始める前に整理しておくことが大切です。
ひがの製菓(株)不動産部としては、市街化調整区域の古家について「売れるか、売れないか」を最初から決めつけるのではなく、「この不動産にはどのような可能性があり、どのような条件なら買主にとって魅力になるのか」という視点から考えることが重要だと考えています。
古い家だから価値がないのではなく、一般的な住宅とは違う見方が必要なだけかもしれません。
市街化調整区域の不動産は、一つひとつ条件が異なるからこそ、土地と建物の状態だけでなく、法令上の制限やこれまでの利用状況まで含めて確認し、その物件に合った売却方法を考えることが大切です。
「古いから無理だろう」「調整区域だから売れないだろう」と諦めてしまう前に、まずは現在の不動産がどのような状態なのかを知ることから始めることが、筑西市の市街化調整区域にある古家を売却するための第一歩になるでしょう。
部署:不動産部
資格:宅地建物取引主任者 二級建築士
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