筑西市で相続した貸家の店払い(立ち退き)と不動産売却の注意点

~入居者がいる貸家を売る前に知っておきたい、立ち退き・契約・売却価格の考え方~



親から貸家を相続したものの、「自分では賃貸経営を続ける予定がない」「管理するのが難しい」「空き家にして売却したい」と考える方は少なくありません。特に筑西市では、相続をきっかけに親が所有していた戸建住宅やアパート、貸家などを引き継ぎ、その後の管理や活用について悩まれるケースがあります。

相続した貸家に入居者が住んでいる場合、売却を考えたからといって、すぐに退去してもらえるとは限りません。賃貸借契約が続いている以上、貸主の都合だけで一方的に「出てください」と伝えればよいわけではなく、契約内容や借主の事情などを確認しながら慎重に進める必要があります。

いわゆる「店払い」や「立ち退き」と呼ばれる入居者の退去については、売却を急ぐあまり、先に話を進めてしまうとトラブルにつながる可能性があります。そこで今回は、筑西市で相続した貸家の売却を検討している方に向けて、入居者がいる状態での不動産売却、立ち退きを依頼するときの注意点、売却前に確認したい事項について詳しく解説します。


相続した貸家は「自分の家」と同じようには扱えません

相続によって貸家の所有者になった場合、その建物を自由に使えるようになると思われるかもしれませんが、すでに入居者との賃貸借契約が存在している場合には、所有者になったからといって、その契約が当然になくなるわけではありません。

相続した不動産を売却する場合でも、まずは現在の賃貸借契約がどのような内容になっているのかを確認する必要があります。契約期間、更新に関する定め、賃料、敷金、特約、管理に関する取り決めなど、契約書の内容によって確認すべき事項は変わってきます。

また、相続した貸家については、所有権を相続人が取得した後の賃貸人としての立場についても整理する必要があります。賃貸中の不動産を売却する場合にも、賃貸借関係をどのように扱うのかが重要になるため、単純に「家を売れば入居者も退去する」と考えないことが大切です。


まず確認したいのは「賃貸借契約書」

相続した貸家を売却する前には、現在の入居者との賃貸借契約書を確認しましょう。

契約書には、契約期間や更新についての定め、賃料、敷金、禁止事項、修繕負担など、貸主と借主の間でどのような約束がされているのかが記載されています。特に、普通借家契約なのか定期借家契約なのかによって、契約終了の考え方が大きく異なるため、この点は最初に確認しておきたいポイントです。

国土交通省が公開している賃貸住宅標準契約書も、民間賃貸住宅の賃貸借契約を考える際の参考になりますが、実際の契約は個々の契約書や特約によって内容が異なるため、標準契約書と同じとは限りません。

相続した貸家の場合、古い契約書しか残っていないケースや、親が口頭で入居者と取り決めをしていたと思われるケースもあります。書類が見つからない場合でも、自己判断で入居者へ退去を求めるのではなく、現在の賃貸借関係を確認してから売却方法を考えることが重要です。


「売却したいから退去してほしい」は簡単ではありません

貸家を売却するために、「入居者には退去してもらって、更地または空き家の状態で売却したい」と考えることがあります。

しかし、普通借家契約などの場合、貸主側から更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには、法律上の要件が関係します。借地借家法では、建物賃貸借について、貸主からの更新拒絶や解約申入れについて「正当の事由」が必要とされています。

そのため、「相続したので売りたい」「自分では賃貸経営をしたくない」「空き家にして売ったほうが高く売れそう」といった貸主側の事情だけで、必ず入居者に退去してもらえるとは限りません。

立ち退きの可否や条件は、契約の種類、これまでの契約経過、建物の状態、貸主・借主双方の事情などによって判断されるため、個別のケースについては不動産会社だけでなく、必要に応じて弁護士などの専門家にも相談しながら進めることが大切です。


「立ち退き」と「契約終了」は同じではありません

貸家の売却を考える際には、「立ち退き」という言葉だけで考えず、賃貸借契約がどのような状態にあるのかを整理する必要があります。

たとえば、契約期間が満了するタイミングなのか、契約期間中なのか、更新が予定されているのか、定期借家契約なのかによって、その後の対応は変わります。定期借家契約については、契約期間の満了によって契約を終了させる仕組みが設けられているため、普通借家契約とは考え方が異なります。国土交通省も定期賃貸住宅標準契約書を公表しています。

一方で、普通借家契約では、貸主側の都合だけで簡単に契約を終了させられるわけではありません。

したがって、相続した貸家を売却する場合は、まず「この契約はいつまでなのか」「どのような契約なのか」「更新について何が定められているのか」を確認し、そのうえで売却方法を考えることが重要になります。


入居者がいるまま売却する方法もあります

「売却するなら必ず入居者に退去してもらわなければならない」と考えている方もいますが、必ずしもそうとは限りません。

貸家としての収益を期待する購入希望者であれば、入居者がいる状態の不動産を購入する可能性があります。いわゆる収益物件として売却する場合には、現在の賃料や契約内容、入居状況などを購入希望者へ適切に説明し、賃貸中の状態を前提として売買を進める方法も考えられます。

この場合、売却後に新しい所有者が賃貸人として賃貸借関係を引き継ぐことになるケースがあります。法務省の資料でも、不動産の所有権が移転した場合の賃貸人たる地位の承継について整理されています。

つまり、「空室にしてから売る」という方法だけが選択肢ではありません。入居者がいることを前提に売却する方法も含めて検討することで、立ち退きに伴う負担やトラブルを避けられる可能性があります。


空室にして売るメリットと注意点

一方で、戸建住宅として購入する人を対象に売却したい場合には、空室にしてから売却することで購入希望者が物件を見やすくなる場合があります。

入居者がいない状態なら、購入希望者が室内を自由に確認しやすく、家具の配置などに左右されずに建物の状態を確認してもらえるため、一般の居住用住宅として販売しやすくなる可能性があります。

ただし、そのために無理に入居者へ退去を求めることには注意が必要です。立ち退きには時間がかかることがあり、場合によっては立ち退きに伴う費用や条件について話し合いが必要になることもあります。

「空室にすれば高く売れる」という単純な話ではなく、空室化に必要な期間や費用と、空室で売却することによって期待できる売却条件を比較することが重要です。


立ち退き料は「当然に払えば解決する」というものではありません

立ち退きをお願いするとき、「立ち退き料を払えば退去してもらえる」と考えてしまうことがありますが、これも単純に金額だけで解決できる問題ではありません。

立ち退きの条件については、契約内容や双方の事情を踏まえて話し合う必要があり、具体的な金額についても一律の基準があるわけではありません。借主の引越しにかかる費用や新居探しなど、さまざまな事情が関係する可能性があります。

また、貸主側から提示した条件に借主が納得しなければ、すぐに退去してもらえるとは限りません。

そのため、相続した貸家を売却するために立ち退きを検討している場合には、最初から金額の話だけをするのではなく、現在の契約内容や売却の事情を整理したうえで、適切な進め方を専門家と相談することが大切です。


感情的な話し合いにならないよう注意する

親から相続した貸家の場合、所有者である相続人と入居者との間に、これまでの経緯がほとんどないことがあります。

一方、入居者からすると、長年暮らしてきた家を突然「相続したので売却しますから退去してください」と言われれば、大きな不安を感じる可能性があります。特に長期間住んでいる方や高齢の方の場合には、引越しそのものが大きな負担になる場合もあります。

そのため、売却を急ぐあまり、一方的な通知や強い言い方で退去を求めることは避けたほうがよいでしょう。

まずは所有者が変わったことを適切に伝え、今後の不動産の方向性について必要な説明を行い、契約内容を確認しながら話し合いを進めることが重要です。具体的な立ち退き交渉については、法律上の問題が関係する可能性があるため、必要に応じて弁護士などへ相談することも検討しましょう。


相続登記が済んでいるかも確認しましょう

相続した貸家を売却する場合には、賃貸借契約だけではなく、所有権についても確認する必要があります。

現在は相続登記が義務化されており、法務省によると、令和641日から相続登記の申請が義務となり、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが基本とされています。

複数の相続人がいる場合には、誰がその貸家を取得するのか、遺産分割協議がどのようにまとまっているのかなども重要になります。

相続した貸家を売却したいと思っても、相続人同士の話し合いがまとまっていなかったり、登記名義の整理ができていなかったりすると、すぐに売却活動へ移れない場合があります。

そのため、相続した貸家の売却を考えたら、入居者との関係だけでなく、相続手続きや登記の状況についても早めに確認しておくことが大切です。


親が交わした契約や敷金についても確認する

相続した貸家では、亡くなった親が管理していた賃貸借契約の資料が十分に残っていないケースがあります。

契約書が見つかったとしても、入居時に受け取った敷金がいくらだったのか、過去に修繕を行ったのか、賃料の変更があったのかなど、契約書だけではわからない情報が存在することもあります。

敷金などの賃貸借関係に伴う金銭については、貸家の売却時にも整理が必要になる場合があります。売却によって賃貸人が変わる場合には、賃貸人としての地位や敷金返還に関する債務などの取り扱いが問題になることがあるため、契約関係を正確に把握しておくことが重要です。

「親が管理していたことだから詳しくわからない」という状態のまま売却を進めるのではなく、残っている契約書や領収書、通帳などを確認し、わからない点については専門家へ相談することが安心につながります。


貸家の売却価格は「空室かどうか」だけでは決まりません

相続した貸家について、「入居者がいるから安くしか売れない」と考える必要もありません。

不動産の価格は、土地の広さ、建物の状態、築年数、立地、周辺環境など、さまざまな要素から判断されます。さらに、賃貸中の物件については、賃料や契約状況、入居状況なども購入希望者が判断する材料になります。

収益物件としての購入を考える人にとっては、入居者がいることが必ずしもマイナスになるとは限りません。むしろ、すでに賃貸経営が行われていることをメリットとして捉える購入希望者も考えられます。

反対に、居住用住宅として購入したい人を対象とする場合には、空室のほうが販売しやすいこともあります。

だからこそ、「立ち退きをしてから売る」と最初から決めるのではなく、現在の貸家の状態や地域の需要を踏まえて、どのような買主を想定するのかを考えることが重要です。


筑西市の地域特性も踏まえて売却方法を考える

筑西市で相続した貸家を売却する場合には、物件そのものだけではなく、その地域でどのような需要があるのかを考える必要があります。

同じ筑西市内でも、駅へのアクセスを重視する方、車での生活を重視する方、戸建住宅を探している方、投資用物件を探している方など、購入希望者の目的はさまざまです。

そのため、一般の住宅として売るのか、賃貸中の収益物件として売るのか、あるいは土地としての活用を含めて考えるのかによって、販売方法も変わってきます。

特に相続した貸家の場合には、「自分だったらこうする」という所有者側の考えだけではなく、「購入する人はこの物件をどのように使いたいのか」という視点を持つことが重要です。


立ち退きを先にするか、売却を先に相談するか

相続した貸家を売るときに迷いやすいのが、「先に入居者に退去してもらうのか、それとも不動産会社に売却相談をするのか」という問題です。

結論としては、自己判断で先に立ち退き交渉を始めるのではなく、まず現在の契約状況を整理し、不動産会社などに売却方法を相談したうえで方向性を検討するほうが安心です。

入居者がいる状態でも売却できる可能性があるのであれば、無理に空室化する必要がない場合もあります。逆に、どうしても空室での売却を検討するのであれば、立ち退きに必要な期間や費用、法的な問題などを考えたうえで進める必要があります。

つまり、「立ち退きしてから売る」という一つの方法に限定するのではなく、「入居中のまま売る」「契約終了のタイミングを考える」「専門家に相談しながら退去について話し合う」など、複数の選択肢を比較することが大切です。


貸家を売却するなら、入居者への配慮も大切

不動産売却は所有者だけの問題に思えるかもしれませんが、入居者がいる貸家の場合には、入居者の生活にも大きく関係します。

売却のために内覧を行う場合には、入居者の生活への配慮が必要になりますし、所有者が変わる場合には、その後の賃料の支払い先や管理方法などについて適切な案内が必要になることがあります。

国土交通省の賃貸住宅標準契約書でも、貸主と借主の間の賃貸借契約について具体的な条項が整理されています。実際の契約内容は個別に異なりますが、貸主と借主双方が契約内容を確認しながら関係を整理することが重要です。

相続をきっかけに突然所有者になった場合でも、「自分には関係ない契約だから」と考えず、入居者との契約を引き継ぐ立場として丁寧に対応することが、トラブルを避けるための基本になります。


売却前にリフォームや解体を急がない

相続した貸家を見ると、「古いから売る前にリフォームしたほうがよい」「入居者が退去したら解体したほうがよい」と考えることがあります。

しかし、リフォームや解体にはまとまった費用が必要になるため、売却前に自己判断で工事を始めるのはおすすめできません。

購入希望者によっては、古い建物を自分好みにリフォームしたいと考える場合もありますし、土地として購入したいと考える場合もあります。また、現在の建物を活用したい投資家が購入する可能性もあります。

売却方法によって必要な準備は変わるため、まずは現状のまま査定を受け、どのような売却方法が考えられるのかを確認することが大切です。


相続した貸家は「早めの査定」が選択肢を広げる

貸家を相続した後、「まだ売るかどうかわからないから、査定は必要ない」と考える方もいます。

しかし、現在の不動産価値を知らないままでは、賃貸を続けるのか、入居者との契約終了後に売るのか、入居中のまま売却するのかといった判断が難しくなります。

査定を受けたからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。むしろ、「この不動産ならこの程度の価格が考えられる」という情報を持っておくことで、家族で今後の資産管理について話し合いやすくなります。

相続した貸家をどうするか迷っている場合には、まず現在の不動産価値を確認し、そのうえで賃貸を継続する場合と売却する場合を比較してみることが、今後の方向性を決める第一歩になります。


まとめ:立ち退きを急ぐ前に、貸家の「現在」を整理しましょう

筑西市で相続した貸家を売却する場合、入居者がいるからといって、必ず先に立ち退きをしてもらわなければならないわけではありません。

賃貸中の不動産として売却する方法もあれば、契約内容や双方の事情を確認したうえで、将来的に空室にして売却する方法を検討することもできます。

特に普通借家契約の場合、貸主側からの更新拒絶や解約申入れには正当事由が必要となるため、「売却したいから退去してほしい」と一方的に進めるのではなく、契約内容や法律上のルールを踏まえて対応することが重要です。

また、相続した貸家の場合には、賃貸借契約だけでなく、相続登記、敷金、賃料、修繕履歴、入居者とのこれまでの経緯など、確認しておきたい情報が数多くあります。相続登記についても現在は申請が義務化されているため、売却を検討する段階で所有権の整理を進めておくことが大切です。

立ち退きを先に進めるのか、入居者がいる状態で売却するのか、あるいは契約の状況を見ながら今後の売却時期を考えるのかについては、物件ごとに適した方法が異なります。

ひがの製菓(株)不動産部では、筑西市で相続した土地や戸建、貸家などについて、売却を検討される方の状況に合わせて不動産売却についてご相談いただけます。相続した貸家について「入居者がいるけれど売却できるのか」「立ち退きをお願いする必要があるのか」「このまま賃貸を続けるべきなのか」と迷っている場合には、まず現在の契約状況と不動産の価値を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

大切なのは、立ち退きだけを先に考えるのではなく、入居者との契約関係、不動産の価値、売却方法、相続手続きなどを一つずつ整理したうえで、所有者にとって無理のない方法を選ぶことです。相続した貸家をこれからどうするか悩んでいる方は、焦って結論を出すのではなく、専門家に相談しながら今後の選択肢を検討することをおすすめします。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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小林信彦

部署:不動産部

資格:宅地建物取引主任者 二級建築士

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