空き家バンクと不動産売却、どちらが早く売るのに有利?

制度の違いと売却スピードの考え方を不動産の視点から解説



近年、日本では空き家の増加が大きな社会問題となっています。人口減少や相続の増加により、住む予定のない住宅を所有している方が増え、「空き家をどうするべきか」という相談も年々増えています。売却を検討する際、多くの方が迷うのが「空き家バンクに登録するべきか、それとも不動産会社に依頼して売却するべきか」という点です。

特に「早く売りたい」という場合、どちらの方法が有利なのかは非常に気になるところでしょう。本記事では、空き家バンクと一般的な不動産売却の違いを整理しながら、それぞれの特徴や売却スピードの考え方について解説します。



空き家バンクとはどのような制度なのか

空き家バンクとは、自治体が中心となって運営する空き家情報のマッチング制度です。空き家を売りたい・貸したい人と、購入したい・借りたい人をつなぐ仕組みで、主に地方への移住促進や地域活性化を目的として導入されています。

多くの場合、自治体の公式サイトや全国版空き家バンクなどのページに物件情報が掲載され、購入希望者が問い合わせる仕組みです。また、この制度は営利事業ではないため、自治体が仲介を行うというよりも「情報提供」が中心となります。

全国的に空き家は増加傾向にあり、2023年時点では約900万戸を超えるとされており、自治体の約6割以上が空き家バンクに参加しています。

このような背景から、空き家バンクは地方の空き家対策として広く知られるようになりました。



不動産会社による売却とは何か

一方で、一般的な不動産売却とは、不動産会社に仲介を依頼して買主を探す方法です。不動産会社は不動産流通ネットワークや広告、インターネットのポータルサイトなどを活用し、広い範囲の購入希望者に物件を紹介します。

売却活動では、価格査定、広告掲載、購入希望者の案内、契約手続きなどを専門家がサポートするため、売主自身の負担を軽減できる点が特徴です。

また、不動産会社は地域の取引事例や市場動向を踏まえて価格設定を行うため、売却戦略を立てながら販売活動を進めていくことになります。



空き家バンクの特徴と売却までの流れ

空き家バンクは自治体が運営する制度のため、基本的には無料で登録できるケースが多いという特徴があります。費用面での負担が少ないことは、大きな魅力のひとつといえるでしょう。

ただし、空き家バンクはあくまで情報提供の仕組みであり、自治体が積極的に営業活動を行うわけではありません。そのため、登録したからといって必ず問い合わせが来るとは限らず、買い手が現れるまで時間がかかることもあります。

また、自治体によっては登録前に建物の状態確認や書類の準備が必要になる場合もあり、登録までの手続きに一定の時間がかかることもあります。

さらに、購入希望者の多くは移住希望者や地方暮らしを検討している人であるため、必ずしも物件がすぐに売れるとは限らないという特徴もあります。



不動産売却の特徴と販売活動

不動産会社に依頼する場合、販売活動はより積極的に行われます。インターネット広告、不動産ポータルサイト、地域ネットワークなどを利用して幅広い購入希望者に物件を紹介することができるため、物件の露出は大きくなります。

また、売却活動では次のような流れで進むことが一般的です。

まずは査定を行い、周辺の取引事例を参考に売り出し価格を決めます。その後、広告掲載や内覧対応を行い、購入希望者が見つかれば価格交渉や契約手続きへと進みます。

売却にかかる期間は物件や地域によって異なりますが、空き家の売却経験者を対象とした調査では、売却までの平均期間は約13.3か月という結果もあります。

ただし、実際には「3か月〜半年程度」で売却されるケースも多く、条件や市場の需要によって大きく変わることが分かっています。



売却スピードに影響するポイント

空き家バンクか不動産売却かを考える際、多くの方が気にするのが「どちらが早く売れるのか」という点です。しかし、売却スピードは制度だけで決まるものではありません。

例えば次のような要素が大きく影響します。

まず大きいのは立地です。駅からの距離や生活環境、人口動向などによって需要は大きく変わります。人口減少が進む地域では、買い手を見つけるまでに時間がかかることもあります。

次に建物の状態です。築年数や劣化状況、管理状態によって購入希望者の印象は大きく変わります。修繕の必要が多い場合は、買い手が見つかりにくいこともあります。

さらに価格設定も重要です。相場より高い価格で売り出すと問い合わせが少なくなり、結果的に売却期間が長くなることがあります。



空き家バンクと不動産売却のスピードの考え方

一般的に、売却のスピードという観点では、不動産会社を通じた売却の方が有利になるケースが多いと考えられます。

その理由の一つは、広告や営業活動の範囲の違いです。不動産会社はポータルサイトや流通ネットワークを通じて全国の購入希望者に物件を紹介できるため、買い手に届く機会が多くなります。

一方で空き家バンクは、移住希望者など特定の層に向けた制度であるため、購入希望者の数が限られることがあります。

また、不動産会社は売却活動を継続的に行うため、価格調整や販売戦略の見直しなども行いながら販売を進めることができます。

ただし、必ずしもすべてのケースで同じ結果になるわけではありません。物件の条件や地域の需要によっては、空き家バンクをきっかけに買い手が見つかることもあります。



売却方法を選ぶ際に考えるべきこと

空き家の売却を検討する際は、「どの方法が自分の状況に合っているか」を考えることが大切です。

例えば、できるだけ早く売却したい場合は、幅広い買い手に情報を届けられる方法を選ぶことが重要になります。

一方で、時間に余裕があり、地域の移住希望者などに物件を活用してもらいたいという考え方の場合は、空き家バンクの活用を検討する方もいます。

また、空き家は所有しているだけでも固定資産税や維持費などの負担が続きます。売却が長引くほど管理費や修繕費がかかる可能性もあるため、早めに方向性を決めることも重要です。



空き家の売却は早めの検討が重要

空き家は放置すると建物の劣化が進み、売却が難しくなることがあります。庭の管理や建物の修繕など、維持にも手間と費用がかかるため、早い段階で売却を検討する方も増えています。

また、相続によって空き家を取得した場合、家族間での意見調整や手続きに時間がかかることもあります。こうした事情から、売却活動を始めるまでに時間がかかるケースも少なくありません。

空き家の売却方法にはさまざまな選択肢がありますが、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。



まとめ

空き家バンクと不動産売却は、どちらも空き家を手放すための方法ですが、仕組みや目的には違いがあります。

空き家バンクは自治体が運営する制度で、地域活性化や移住促進を目的としたマッチングの仕組みです。一方で、不動産会社による売却は、広い市場に向けて販売活動を行う一般的な不動産取引の方法です。

売却スピードという観点では、不動産会社を通じた売却の方が買い手に届く範囲が広いため、有利になるケースが多いと考えられます。ただし、物件の条件や地域の需要によって結果は変わるため、それぞれの特徴を理解したうえで検討することが重要です。

空き家の売却は、単に「売る」だけではなく、地域や市場の状況、建物の状態などさまざまな要素が関係します。売却方法の違いを知ることで、自分にとって最適な選択肢を見つけやすくなるでしょう。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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