空き家を高く売る!不動産査定で失敗しないための注意点

― 筑西市の所有者向け:損をしない査定と売却準備の実践ガイド ―



ひがの製菓(株)不動産部です。相続や転居、住み替えなどで生じた「空き家」は、放置すると固定資産税や維持費、近隣トラブルの原因になりがちです。一方で、適切に準備して売却すれば資産として現金化でき、地域活性化にもつながります。本稿は、筑西市の空き家事情の背景(行政の支援策など)を踏まえつつ、査定段階で陥りやすい失敗と、その回避策を中心に、現場で使える実務的なポイントを詳しく解説します。注意点と手順に重点を置いています。



1|「査定」の種類とそれぞれの特徴を正しく理解する

査定には主に「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定(実地査定)」があります。

  • 机上査定:役所の公示地価や路線価、過去の取引事例をもとに短時間で算出するため、概算を把握する目的には有用です。ただし空き家特有の劣化状況や土地利用の制約、再建築不可の可能性などは反映されにくく、過度に参考にすると誤った売出価格設定につながります。
  • 訪問査定:不動産業者が現地を確認し、建物の劣化度合い、設備の状況、周辺環境、法規制(再建築可否や接道要件など)を加味して査定します。空き家のように個別性が強い物件は、訪問査定の精度が高く、売却戦略を立てる上で欠かせません。

査定依頼の際は、最初に机上査定で相場感をつかみ、必ず訪問査定を受けてから最終的な売出し価格を決めるのが安全です。特に築年数が古い、構造に問題がある、敷地の形状に難がある等の物件は机上査定だけで判断しないこと。



2|査定額が変わる空き家ならではの要素

空き家は「建物の評価が低くなる」だけでなく、売却時に買主が懸念する要素が多いです。査定額に影響する主なポイントを整理します。

  • 建物の耐震性・構造:木造の老朽化、基礎の腐食、雨漏り歴などは大きく評価を下げます。耐震診断や簡易補修の見積りを用意できれば、査定時にプラス評価となることがあります。
  • 登記・権利関係:名義人が亡くなっている、相続登記が未了、連絡のつかない共有者がいる、借地権関係がある、といった場合は処理に時間と費用がかかるためマイナス評価。相続関係を整理しておくと査定の信用度が上がります。
  • 接道・再建築可否:再建築ができない(法令上の接道義務を満たさない)土地は評価が大きく下がるケースがあるため、行政窓口での事前確認が重要です。
  • 土地の形状・境界:旗竿地や極端に狭い道路接道、境界不明などは買主の活用範囲を狭めます。境界確定測量や過去の境界資料があると査定で有利に働きます。
  • 周辺環境と用途地域:幹線道路沿いの騒音、商業地域との隣接など用途によっては再利用の可能性が変わり、査定が影響を受けます。

これらを査定前に洗い出し、改善できるものは現地修繕や書類整備で対応し、改善が難しい項目は正直に開示して買主との信頼性を担保することが高値につながります。



3|「高値」を狙う際の合理的な修繕と費用対効果

古い空き家は全面改修をすれば価値は上がりますが、コストとのバランスを見誤ると投資回収できないこともあります。費用対効果の高い対策を優先しましょう。

  • 最低限の安全対策(屋根の補修、雨漏り対処、床の抜け補修等):構造的な不安があると査定で大きく下落するため、まずは安全確保が最優先。
  • 外観と第一印象の改善(外壁清掃、植栽の伐採、玄関周りの整備):写真写りが良くなるだけでも見学者の反応は良くなります。
  • 建物の内部クリーニングと簡易修繕:長期間空き家だった場合、内部の清掃やクロスの張替え程度で印象が大きく改善することがある。
  • インフラの確認(給排水、電気、ガスの開通可否):再接続に大きな費用がかかる場合は査定でマイナス評価になるため、事前に概算見積りを用意しておくと安心。
  • 解体・更地化の検討:土地として売る方が高くなるケースがあるため、地域の需要(宅地需要の有無)を確認し、市の補助制度が利用できるかもチェックする。筑西市では解体支援補助等の制度があり、一定の条件で補助が受けられる場合があります。

修繕費用を売却価格に上乗せできるかは、周辺の売買事例や需要動向で判断します。仲介業者に「修繕後の想定成約価格」と「修繕費の見積り」を提示してもらい、投資回収が見込めるかを数値で比較して決めるのが堅実です。



4|査定で「見落としがち」な法的・行政的リスク

査定段階で見落としがちな法令や行政上のリスクを把握しておくことは重要です。

  • 特定空き家指定のリスク:放置状態が著しい場合、市町村から「特定空家等」に指定されると、改善命令や代執行が行われる可能性があります。空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の枠組みや改正点を理解しておきましょう。
  • 固定資産税や都市計画税:売却までの保有期間中の税負担を試算しておくこと。特定空き家に指定されると税制上の優遇が受けられなくなったり、評価が変わったりする可能性があります。
  • 建築基準法や用途地域の制限:再建築不可・増築不可の制約がある土地は査定で大幅減価するため、役所での事前確認が必須。
  • 相続・名義問題:相続登記が未了だったり、共有者間で同意が得られていない場合は売却手続き自体が停滞します。相続関係の整理は早めに司法書士や弁護士と進めるべきです。

行政の空き家対策や指導の内容は市町村ごとに差があります。筑西市でも空家等対策計画を策定し、空き家管理・活用支援の体制を整えていますので、市の窓口や指定の支援法人の活用を検討すると良いでしょう。



5|査定を依頼する不動産会社の選び方とチェックポイント

高値で売るためには、査定を依頼する不動産会社の見極めがカギです。具体的なチェック項目:

  • 地域実績と売却事例の提示:筑西市エリアの取引に詳しいか、類似物件の成約事例を提示できるかを確認する。
  • 空き家・古家の取扱い経験:空き家特有の課題(解体・補助・相続・補修)の経験が豊富な会社は交渉力が高い。
  • 査定の根拠が明確か:机上査定なら使用したデータの出典、訪問査定なら評価ポイントの内訳を説明できること。
  • 販売戦略の提案力:ターゲット(再建築を望む個人、リフォーム投資家、事業用地としての法人等)を明確にした販売計画を示せるか。
  • 手数料や契約形態の透明性:媒介契約の種類(一般、専任、専属専任)別のメリット・デメリットを説明できるか。

仲介会社は複数社へ査定を依頼し、提示された数字だけで判断しないことが重要です。根拠や戦略を比較して、最も信頼できる会社を選びましょう。



6|公的支援・補助の活用:売却コストを下げる視点

空き家の解体や管理、活用に関する補助金や支援制度は市町村ごとに異なります。筑西市でも解体支援補助金や管理活用支援法人の指定など、空き家対策をサポートする仕組みが整っています。これらを検討することで、解体費用の一部を補助してもらい、更地売却の可能性を高めることができます。補助を受けるには要件や締切がありますので、早めに情報収集と申請準備を行いましょう。

また、地方公共団体や民間の空き家相談窓口(空き家バンク等)を利用すると、管理代行・利活用の候補が得られるほか、移住希望者とのマッチングにつながる場合もあります。こうしたワンストップサービスは売却の選択肢を広げる強力なツールです。



7|査定結果から売出価格を決めるための実務的な計算

査定価格から実際に手元に残る手取りを計算しておくことは非常に重要です。計算に含める主な項目は以下の通りです。

  • 予想される成約価格(査定をベースに現実的な着地想定を作る)
  • 仲介手数料(契約時に発生)
  • 抵当権の抹消費用・ローン精算(ローンが残っている場合)
  • 固定資産税の精算、都市計画税の精算(所有日数按分)
  • 解体費用・撤去費用(更地にする場合)
  • 各種登記費用、司法書士報酬、印紙代、測量費用(必要時)
  • 譲渡所得税等の税金(譲渡益が出る場合)

これらを差し引いた実際の手取額を複数のシナリオ(現状売却、簡易修繕後売却、解体して更地売却)で比較し、費用対効果が最も高い手法を選ぶことが重要です。税務上の取り扱いや最適解は個別事情で変わるため、税理士に相談して試算することを推奨します。



8|内覧・販売活動での注意点(空き家特有の配慮)

内覧は買主にとって物件を判断する最大の機会です。空き家ならではの配慮を行うことで印象を改善できます。

  • 匂いや汚れの除去:カビや汚れ、害虫の痕跡は心理的なハードルを上げます。専門業者のクリーニングも検討を。
  • 安全確保:床抜けや手すりのぐらつきなど安全面のリスクは事前に対処し、内覧時の事故を防ぐ。
  • 書類の準備:権利関係、修繕履歴、近隣との取り決め(通行など)の情報をすぐに提示できると信頼性が高まる。
  • 写真と情報の正確さ:広告に掲載する写真は現況と差がないようにし、過度な修正はクレームの原因になります。
  • 近隣への配慮:内覧や工事で近隣に迷惑がかかる場合、事前にあいさつと日程の調整を行うとトラブルを避けられる。

空き家は「買主が将来どう活用するか」を想像できない場合が多いので、活用プラン(リフォーム前後のイメージ図や簡単な費用見積り)を示すと買主のイメージが湧きやすく、交渉が有利になります。



9|交渉と契約の際に気をつけるポイント

売買契約に進む際の留意点をまとめます。

  • 瑕疵担保責任の範囲:築古物件は瑕疵担保責任(売主の責任)を限定する特約を設けることが一般的です。契約書の条項は専門家に確認しましょう。
  • 引渡し条件(現状渡し・補修の有無・残置物の処理等):現状渡しで合意する場合、その範囲を明確にすること。残置物処理や引越しの期日、費用負担を契約書に明記します。
  • 決済と登記手続き:ローン完済・抵当権抹消の段取りを事前に把握し、決済日当日にトラブルが起きないよう司法書士と調整すること。
  • 契約解除条件と手付金の取り扱い:契約解除の条件(買主の住宅ローン不許可等)や手付金の扱いを明確にし、双方のリスクを整理しておきます。

重要な条項は必ず書面で残し、不明点は専門家に相談してから署名する習慣をつけてください。



10|売却後に必要な手続きと留意点

売却が完了しても、完了報告や税務処理、近隣対応など残る作業があります。

  • 税務申告:譲渡所得が発生する場合、確定申告が必要になります。特別控除や特例の適用可否を税理士に確認してください。
  • 固定資産税・都市計画税の精算:日割り計算で精算するのが一般的です。
  • 残置物や引継ぎ書類の保管:買主への引渡し書類はコピーを保管しておくと後のトラブル回避に役立ちます。
  • 近隣へのあいさつ:売却後も近隣とトラブルが起きないよう、工事や引越しがあった場合は手順を共有しておくと良いでしょう。


終わりに計画的な準備が「高く売る」最短ルート

空き家を高値で売りたいなら、査定に先んじて「問題点の洗い出し」と「改善の優先順位付け」を行い、信頼できる仲介業者と連携して販売戦略を立てることが最も重要です。筑西市においては、市の空家等対策計画や解体支援補助制度、管理活用支援法人など地域の支援を活用できる場面がありますので、行政窓口や支援団体の情報も併せて確認すると売却の選択肢が広がります。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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小林信彦

部署:不動産部

資格:宅地建物取引主任者 二級建築士

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