相続で得たアパートを早く売る?貸す?不動産業者の正直な意見

~“資産を活かす”か“リスクを回避”か、その境界線~



相続によって賃貸アパートを手にしたとき、多くの方がまず頭をよぎるのが「売却か、賃貸経営か」という選択です。親や親族が長年にわたって貸し続けてきた建物であれば、人を住まわせたまま資産を引き継ぐことにも心が動くでしょう。一方で、地域の空室リスクや管理の負担を考えれば、早期売却でも資金化してしまったほうが安心と感じる方も少なくありません。そこで、本稿では地元・筑西市を拠点に活動する不動産業者として、売却・賃貸の双方を専門的視点から検証し、正直な見解をお伝えします。

相続アパートを売る場合のメリット・デメリット
まず「売却」の大きなメリットは、現金化による流動性の確保です。相続税や今後のライフプランを考えたとき、まとまった資金が手元にあることで選択肢が広がります。たとえば自宅のリフォーム費用に回したり、教育資金・老後資金に充当したりする際にも、現金があると心理的な負担が軽減されることでしょう。

しかし一方で、売却額は市場動向に大きく左右されます。特に地方都市においては、築年数の古い物件や立地がさほど良くないアパートの場合、買い手がつきにくいケースもあります。その結果、希望価格を下回る売却となったり、売却完了までに半年~一年かかることも珍しくありません。また、売却益が発生した場合には譲渡所得税が課税されますので、税負担を試算したうえで損益分岐点を見極める必要があります。

相続アパートを貸す場合のメリット・デメリット
賃貸経営を継続するメリットは、安定的な家賃収入を長期にわたって得られる点にあります。空室リスクをクリアできれば、インフレ対策にもなり、不動産を保有しつつ収益を得るという資産運用の基本形となります。また、賃貸管理会社に委託すれば、家賃回収や入居者対応、設備トラブルなどの日々の業務をプロに任せることも可能です。

ただし築古アパートの場合、設備の老朽化や修繕費用がかさむリスクも無視できません。特に給排水管・屋根・外壁などの大規模修繕は数百万円単位の出費になるケースもあり、長期的視点でキャッシュフローをシミュレーションしないと、収支がマイナス転落することもあります。また、貸し続ける場合は固定資産税・都市計画税といった維持コストも継続的に発生しますので、管理委託費や税負担と家賃収入を比較して初めて初期投資対効果を評価できるのです。

早期売却を選ぶべきケース

1.     築年数が古く、修繕見込みが大きい
20年超のRC(鉄筋コンクリート)造アパートや、築30年以上の木造アパートは、修繕費用がかなりかかる可能性があります。将来的な修繕計画が不透明であれば、売却して資金を確保したほうが無難でしょう。

2.     相続税やその他負債返済の資金が必要
生前贈与を利用していなかった場合、相続税の納税資金が不足しがちです。納税期限までに現金が用意できないと金融機関からの借り入れを強いられることもあるため、早期売却でリスクを回避する選択肢があります。

3.     地元に居住しておらず管理が困難
筑西市外にお住まいの方や別府など遠隔地に移転している場合は、管理体制を整えるまでのコストや手間も考慮しなければなりません。管理会社への委託料が家賃収入を圧迫することが想定される場合は、売却を検討したほうが月次キャッシュフローの安定につながります。

賃貸継続を選ぶべきケース

1.     立地条件が良く、空室リスクが低い
筑西市中心部やスーパー・学校・公共交通機関が近隣にある物件は入居希望者が多いため、家賃収入が安定しやすい傾向があります。入居率が高ければ管理コストを差し引いても手元に残るキャッシュが多く、資産を長期的に活かせます。

2.     建物の状況が良好で、修繕見込みが低い
築浅・しっかりメンテナンスされた物件であれば、大規模修繕までの猶予期間が長く、コストを抑えた運用が期待できます。

3.     節税対策として活用したい
アパート経営は青色申告による65万円控除や、減価償却費を計上した節税対策が可能です。所得税・住民税の軽減につながるため、ほかの所得が多い相続人にとっては有効な方法となるでしょう。

売却・賃貸いずれを選ぶにしても注意すべきポイント

·       相続登記の完了
法務局への相続登記が済んでいないと、その後の売買契約・賃貸契約でトラブルとなる可能性があります。相続登記は最低限の準備として早めに完了させましょう。

·       固定資産税評価額の確認
固定資産税評価額は売却価格や賃料設定の参考値になります。評価額と実勢価格の乖離を把握し、現実的な価格戦略を立てましょう。

·       空室状況と周辺相場の調査
空室率や近隣の賃料相場を把握することで、賃料設定や売り出し価格が的確になります。市場調査を怠ると、希望通りの運用ができず、反響が得られないまま時間だけが過ぎるリスクがあります。

·       専門家への相談
売却・賃貸いずれの場合も、税理士・司法書士・不動産鑑定士といった専門家の意見を早期に仰ぐことで、最適なプランが見えてきます。特に節税対策や相続評価は複雑なため、自己判断だけで進めるのは避けましょう。

まとめ
相続で得たアパートをどう活用するかは、「資産の性質」「相続人のライフプラン」「市場環境」「税務面」の4つの視点から総合的に判断する必要があります。早く現金化してリスクを回避したいのであれば売却が適しており、長期的に安定収入を得たいなら賃貸経営に向いています。しかし、どちらを選ぶにせよ正確な現状把握と専門家のバックアップが不可欠です。筑西市エリアの相続不動産については、地域に詳しい当社が最新の相場情報と法令対応を踏まえたうえで、率直なアドバイスを提供します。まずは相続登記の確認からはじめ、最適な資産活用プランを一緒に検討しましょう。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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小林信彦

部署:不動産部

資格:宅地建物取引主任者 二級建築士

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