離婚と同時に家を売却…住宅ローン残債がある場合の進め方

~離婚協議からローン精算まで、トラブルを避けるためのポイント~



離婚が決まったタイミングで、これまで住み慣れたマイホームをどう扱うかは大きな問題です。特に住宅ローンが残っている状態で売却を検討する場合、売却額が残債を下回れば不足分をどのように補填するか、名義や引き渡しのタイミング、税務処理など、クリアすべきステップが多岐にわたります。ここでは、離婚と同時に住宅を売却し、ローン残債を整理するための流れと注意点を詳しく解説します。実務的な進め方にフォーカスしてご説明します。

1. 売却判断の前に:離婚協議と不動産分割の基本

離婚に際しては、財産分与の対象となる不動産について、まずは夫婦間の合意形成が不可欠です。共有名義か一方名義かによって手続きは異なります。

  • 共有名義の場合:夫婦それぞれの持分割合を明確にし、売却益や不足分の負担割合について書面(公正証書・離婚協議書)で取り決めましょう。
  • 片方名義の場合:名義人が売却手続きの主体となりますが、受益・負担は夫婦で折半も可能です。後のトラブル防止のため、離婚協議書に「売却後のローン残債精算方法」と「譲渡所得の扱い」を記載しておくと安心です。

離婚協議書を公正証書化すれば執行力が高まり、ローン返済や売却代金の分配に関して相手が一方的に取り決めを覆すリスクを低減できます。

2. 住宅ローンの現状把握と金融機関への相談

売却前に最初にすべきは、現在のローン残高と契約内容の確認です。固定金利・変動金利の見直しや、繰り上げ返済手数料の有無、抵当権抹消の条件など、ローン契約書を詳細にチェックしましょう。

  • 繰り上げ返済シミュレーション:売却予定額で残債を完済できるか、あるいは不足分があるかを試算。
  • つなぎ融資の検討:売却代金の入金とローン完済のタイミングがずれる場合、一時的に資金を借り入れる必要が生じることがあります。
  • 金融機関との交渉:状況に応じて返済条件の変更(返済期間延長、返済金額減額など)や手数料の減免を相談。

早い段階で金融機関と打ち合わせることで、売却から抵当権抹消までのスケジュールを具体化できます。

3. 売却価格の設定と査定方法

住宅ローンが残っている場合、売却価格を「残債以上」に設定するのが理想ですが、市場動向や立地条件によっては残債割れするケースも少なくありません。

  • 複数社による査定依頼:地元密着型の不動産会社に加え、大手仲介業者やネット系査定サイトを併用し、価格帯の幅を把握。
  • 市況調査:周辺の成約事例や成約単価、売り出しから契約までの平均期間をチェック。
  • 価格調整のポイント:リフォーム費用や瑕疵(雨漏り、シロアリ被害など)の有無を考慮し、媒介契約締結前に概算費用を見積もっておきましょう。

また、短期売却を狙うなら「価格を抑えて早期成約重視」、時間的余裕があれば「適正価格でじっくり販売」という二つの戦略を用意しておくと安心です。

4. 売却活動の進め方と媒介契約

実際の売却活動では、仲介業者との媒介契約がスタートラインとなります。契約形態は「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、選ぶ形態によって広告方法や報告義務の頻度が異なります。

  • 専属専任媒介:一社だけに売却活動を依頼。売主自ら買主を見つけることはできず、仲介報告義務が最も厳格。
  • 専任媒介:一社のみ依頼だが、自ら買主を見つけることは可。週1回のレポート提出義務。
  • 一般媒介:複数社に依頼できるが、業者間の情報連携が希薄になる可能性。

離婚売却の場合、売主同士の連絡や情報共有に手間取るケースが多いため、レポート頻度が高く窓口を一本化できる「専任媒介」や「専属専任媒介」を選ぶと安全性が高まります。

5. 売買契約から引き渡しまでの流れ

  1. 重要事項説明・売買契約書の締結
    • 抵当権設定状況、ローン返済見込み、不動産の状態をしっかり開示。
  2. 手付金の受領とローン申込み
    • 売却代金の一部を手付金として受領し、残金決済日までの流れを確認。
  3. 残代金受領・抵当権抹消手続き
    • 売却代金の残金でローンを完済し、金融機関から抵当権抹消書類を取得。司法書士に依頼して登記簿上の抵当権を抹消します。
  4. 鍵の引き渡し・所有権移転登記
    • 売主・買主双方の立ち合いで鍵を引き渡し、司法書士が登記手続きを完了させます。

住宅ローン残債処理に伴い、手続きが複雑化しやすい点に注意してください。特に、売買代金の振込日とローン完済日・抹消登記日をずらす場合は、「つなぎ融資」の利用や司法書士への依頼タイミングを事前に調整しておく必要があります。

6. ローン残債が売却価格を上回る場合の対処法

売却価格<残債となる「オーバーローン」状態では、不足分をどのように用意するかが大きな課題です。代表的な対処方法は以下のとおりです。

  • 共有財産からの精算:離婚協議に基づき、不動産以外の預貯金や株式など共有財産で不足分を補填。
  • 連帯保証人・連帯債務者の協力:元配偶者や第三者が連帯債務者となり、金融機関と再契約して返済負担をシフト。
  • つなぎローンの利用:売却代金が入金されるまでの期間、一時的に金融機関やノンバンクから短期融資を受ける。
  • 自己資金の投入:お互いの貯蓄や親族からの借入れを活用し、残債不足をカバー。

どの方法にもメリット・デメリットがあり、借り入れコストや返済リスクを比較検討することが大前提です。金融機関の担当者やファイナンシャルプランナー、税理士に相談しながら最適な方法を選びましょう。

7. 税務上のポイント:譲渡所得と確定申告

売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、確定申告が必要です。譲渡所得は「売却代金-(取得費+譲渡費用)」で計算され、所有期間によって税率が変わります。

  • 短期譲渡(所有5年以下)39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
  • 長期譲渡(所有5年超)20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

離婚売却の場合、「特別控除(3,000万円)」の適用要件や、居住用財産の買換え特例が利用できるケースがあります。売却前に税務シミュレーションを行い、申告義務と税負担額を把握しておきましょう。

8. まとめ:離婚と家売却をスムーズに進めるコツ

  1. 離婚協議書の整備:財産分与・売却代金分配・ローン残債負担を明文化
  2. ローン契約内容の徹底確認と金融機関交渉
  3. 複数査定で適正価格を把握し、媒介契約はレポート義務の高い形態を選ぶ
  4. 抵当権抹消までのスケジュールを司法書士と連携して確定
  5. オーバーローン時の補填方法を事前に複数パターン検討
  6. 譲渡所得の税務シミュレーションと特例適用の確認

離婚という精神的・手続き的に負担の大きい局面で、家の売却はさらに複雑さを増します。しかし、ステップごとに「合意形成」「資金計画」「法的手続き」「税務処理」を着実に進めることで、不要なトラブルを回避し、次の新生活への資金を確保できます。

「ひがの製菓(株)不動産部」では、離婚に伴う不動産売却のご相談を受け付けております。経験豊富なスタッフが、ローン残債の整理から売却手続き、税務面のアドバイスまでトータルサポートいたします。まずは、売却前の不安や疑問点をお気軽にご相談ください。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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