貸家を収益物件として売却!相続時の選択肢とは?

相続税対策から運用メリット・デメリットまで解説する、貸家売却の全体像ガイド



はじめに

 

相続が発生した際に、不動産の中で大きな割合を占めるケースが多いのが「貸家(賃貸用戸建)」です。実際に貸家を相続した場合、そのまま賃貸経営を続けるか、それとも売却して現金化するか、あるいは他の相続財産と組み合わせて調整するか、選択肢は複数存在します。

 

本記事では、貸家を収益物件として売却する際に知っておきたい相続税対策や手続き、売却するメリット・デメリット、そして具体的な進め方までを解説します。「選択肢」と「手順」、「注意点」にフォーカスしてお伝えしますので、ご自身の相続プランの参考にしてください。

 

1. 貸家を相続したときの基本的な考え方

 

相続財産に貸家が含まれている場合、まずは相続税評価額の計算を行う必要があります。貸家は「貸家建付地」として評価減が適用されるため、自宅などの更地と比べて評価額が低くなることが一般的です。これにより相続税の負担を軽減できますが、その後の運用・売却においては次のポイントを押さえましょう。

 

【評価減のメリット】貸家建付地評価により、土地評価額が約90%程度まで減額される

 

【収益性の検討】現状の賃料収入と年間維持コスト、空室リスクを比較

 

【相続人間の調整】複数の相続人がいる場合、賃貸経営継続の是非や売却時期について合意形成が必要

 

特に評価減の恩恵を受けつつ、将来的に売却を検討する場合は、評価額と売却額のギャップを把握したうえでタイミングを検討することが大切です。

 

2. 貸家を収益物件として売却するメリット・デメリット

 

メリット

 

現金化による資産流動化売却によりまとまった現金を手にすることで、相続人間での分配調整や他の資産の買い替え、借入金返済など資金用途の幅が広がります。

 

管理コスト・リスクの解消空室リスクや建物維持費、修繕費の負担がなくなるため、管理会社への委託費用削減や自身での物件管理の手間がなくなります。

 

相続税・固定資産税対策処分により評価減が解消されるため、運用中の貸家建付地評価のメリットを享受しつつ、売却益を相続税の納税資金に充当可能です。

 

デメリット

 

売却価格が相続税評価額を下回る可能性投資用物件としての市場動向や個別要因により、評価額より低い価格での売却となるケースがあります。

 

譲渡所得税の発生売却益が出た場合、所得税・住民税(二十五%前後)の譲渡所得税が課税されます。譲渡時期や取得時期により税率が変動するため、税額シミュレーションが必要です。

 

相続人間の意見対立リスク収益物件をそのまま保有するのか売却するのか、相続人の間で意見が分かれる場合、合意形成に時間やコストがかかることがあります。

 

3. 相続税対策としての売却シミュレーション

 

相続開始後に売却を検討する場合、次のステップでシミュレーションを行いましょう。

 

評価額の算出相続税評価額(貸家建付地評価)を算出し、現状の評価減メリットを把握。

 

売却想定価格の設定複数社に査定依頼を行い、想定売却価格を比較。

 

譲渡所得税額の試算売却価格–(取得費+譲渡費用)をもとに短期・長期譲渡の税額を試算。

 

納税資金シミュレーション相続税の納税資金として充当した場合、自己資金の不足や余剰を確認。

 

相続人間分配案の策定売却益の分配方法や他の相続財産とのバランスを検討し、具体的な分割案を作成。

 

これらのシミュレーションを踏まえて、売却タイミングや売却後の資金運用計画を立案します。

 

4. 相続開始から売却までの手続きフロー

 

遺産分割協議の実施相続人全員で遺産分割協議書を作成し、貸家を売却する旨の合意を文書化します。

 

所有権移転登記(名義変更)相続登記を行い、名義を売却する相続人または信託会社に変更します(※20244月から義務化)。

 

査定依頼・不動産会社選定複数社に机上・訪問査定を依頼し、手数料や提案内容を比較して仲介契約先を決定。

 

媒介契約の締結一般媒介・専任媒介・専属専任媒介から戦略に合わせて選択。

 

売却活動開始広告掲載、オープンハウス実施、内覧対応を進めます。

 

売買契約の締結条件交渉後、売買契約書を締結し手付金受領。

 

決済・引渡し残代金受領後、鍵や書類を引き渡し、登記申請を行い所有権移転が完了。

 

5. 貸家の価値を正しく評価する方法

 

賃料収入還元法(インカムアプローチ)

 

将来の賃料収入を基に収益還元価値を算出します。利回りや空室率、維持管理費用を考慮して妥当な価格を導出。

 

取引事例比較法(マーケットアプローチ)

 

近隣類似物件の実際の取引価格を比較することで、市場価格を推定。

 

原価法(コストアプローチ)

 

再調達原価(再建築費用)から経年減価分を差し引いて計算する方法。建物の築年数が浅い場合に有効。

 

複数の方法を組み合わせることで、貸家物件の実勢価格をより正確に把握できます。

 

6. 売却時に利用できる特例・税制優遇措置

 

居住用財産の3,000万円特別控除相続発生前から自己居住用として利用していた貸家を売却する場合(要件あり)、譲渡所得から3,000万円を控除可能。

 

相続税の配偶者控除配偶者が取得した財産のうち1億円まで、または法定相続分まで評価額を控除できます。

 

小規模宅地等の特例貸家建付地評価で最大50%の減額が適用されるケースがあります(貸付事業用宅地等)。

 

これらの特例は要件が厳格なので、適用可否を専門家に確認しながら申告しましょう。

 

7. 売却のためのマーケティング戦略

 

ターゲット層の選定

 

投資家: 安定的な家賃収入を求める個人・法人

 

賃貸仲介業者: 早期流通を重視し、まとめ買いを検討する業者

 

広告・プロモーション手段

 

ポータルサイト掲載(大手不動産サイト、投資用物件専門サイト)

 

オンライン広告(SNS、メールマガジン)

 

セミナー・説明会(賃貸経営セミナーでの物件紹介)

 

内覧・商談時のポイント

 

居住中の場合は貸主への事前調整・立会い手順を明確化

 

建物図面・収支シミュレーション資料を準備し、信頼性を訴求

 

8. 売却後の資産運用と分配方法

 

売却代金の運用プラン

 

定期預金・債券: 安全性重視で一定利回り確保

 

証券投資: 分散投資でリスクを分散

 

不動産信託(REIT: 小口投資で不動産収益を継続的に得る

 

相続人間の分配スキーム

 

現金等価分配: 売却代金を相続割合に応じて按分

 

代償分割: 一部相続人が不動産を取得し、他相続人に代償金を支払う

 

9. 相続人間の調整ポイントと注意点

 

合意形成のプロセス: 意見交換会や書面での確認を重ねて透明性を確保

 

共有名義のリスク管理: 共有名義で放置すると管理・処分が難航するため、早期に分割・調整計画を策定

 

第三者活用: 信託銀行やファンドを活用し、相続人間での直接運営負担を軽減

 

10. 税務・法務の専門家を活用するタイミング

 

遺産分割協議前: 評価額の算定や節税効果のシミュレーションで税理士に相談

 

相続登記申請時: 司法書士への依頼でスムーズな手続きを実現

 

売買契約締結前: 契約書のリーガルチェックを弁護士・司法書士に依頼

 

確定申告時: 譲渡所得の申告で税務申告書作成や添付書類の準備を税理士に依頼

 

適切なタイミングで専門家を巻き込むことで、リスクを最小化しスムーズな売却を実現します。

 

11. まとめ

 

貸家を収益物件として売却する際には、相続税評価や譲渡所得税、相続人間の合意形成などさまざまな要素が絡み合います。本記事でご紹介した「選択肢」「売却メリット・デメリット」「手続きフロー」「税制優遇措置」「マーケティング戦略」「相続人間の調整ポイント」をもとに、ご自身の状況に応じた最適なプランを立案してください。

 

ひがの製菓(株)不動産部では、貸家売却の全プロセスをワンストップでサポートしております。売却前のシミュレーションからマーケティング、税務申告まで、お気軽にご相談ください。

 

ひがの製菓株式会社 不動産部


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